地域景観を継承しながら夜間の震災遭遇時に効力を発揮する光環境形成に関する研究

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K04467
• Research Institution: Tokyo City University
• Principal Investigator: 小林 茂雄 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (20262313)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 津波 / 避難照明 / 地形認識 / 停電 / 景観 / 照明社会実験

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、地域の地形や街並みや文化を尊重し、震災遭遇時の緊急避難を促すことと、地形などの地域性を日常的に可視化する夜間の光環境を同時に達成することを目指し、その手法を構築しようと試みている。新型コロナウイルス感染症の影響で、屋外での調査や実験は行えなかったものの、前年までに完成した、静岡県東伊豆町の夜間避難を考慮した街路灯の評価を実施した。
東伊豆町熱川温泉地区は下記のような特徴がみられる。南海トラフ地震で想定されている津波水位は海面から14mで、影響開始時間が15分と短い津波だけでなく、土砂災害、内水氾濫など他の災害も起こりえる。地形が特徴的で、道路も湾曲しており、空間把握がしにくい。場所に不慣れな観光客も滞在している。またランドマークとなる温泉櫓が各場所にある。
こうした地形や地域性を考慮に入れ、通常よりも低照度でありながら空間認知に優れる照明配置を行った。そして避難経路に沿った複数のポイントで、照明改修前後での光環境の状態と心理的な効果を把握した。ただし一部の住民からは、暗くなったことに対する不安の声も聞かれた。安全を確保しながら効率的な誘導を促すための光環境をどう調整するかを議論しているところである。
また宮城県気仙沼市においても、これまでの研究成果を活用した新たな光環境整備が進んでいる。2021年度はこれらの成果をまとめて、地域景観を考慮した避難照明計画について、他の地域にも活用できるような資料を作成していきたい。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルス感染症の影響で、屋外での調査や実験は行えなかった。

Strategy for Future Research Activity

宮城県気仙沼市での研究と静岡県東伊豆町での研究を統合して、地域に適した避難誘導照明の計画手法をまとめる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の影響で、屋外での調査や実験は行えなかったため。