2019 Fiscal Year Research-status Report
居住環境に及ぼす鉄道騒音と振動の複合効果に関する研究
Project/Area Number |
18K04472
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
森原 崇 石川工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (10413767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 隆太 日本大学, 理工学部, 教授 (40339255)
松本 泰尚 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90322023)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄道 / 自動車 / 振動 / 2軸同時曝露 / 評価実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,鉄道から発生する騒音と振動が生活環境にどのように影響するのか定量 的な関係性を検討することにより,鉄道沿線の居住環境で生じる影響 の予測,実施すべき 具体的な対策の知見を得ることである。本年度は,道路交通および鉄道の通過によって生じる 屋内振動を再現し,水平方向と鉛直方向の振動が同時に生じている際の心理的影響を検討することを目的とした。実験参加者は、本校(石川工業高等専門学校)建築学科5年生(男性10名,女性5名),4年生(女性5名) の計20名である。実験は本校の2軸同時再生が可能な振動台を使うこととし,1刺激約30秒の振動をランダムに提示しながら,読書を行ってもらった。心理的評価は大きさ,気になり具合,不快感,妨害感という4項目とした。刺激の大きさは4段階+振動なしという条件を組みあわせて提示した。 結果は,提示した刺激の中央値に近い10名の評価結果を分析データとして扱った。今回の実験の分析結果から,水平振動と鉛直振動の同時曝露による心理的影響は鉄道通過時と自動車通過時の振動で共通して,振動レベルの 2,3段階の振動を感じた際に複合効果がみられ,鉄道通過時の振動のみ気になり具合と不快感の項目で振動レベルが最も大きい4段階でも複合効果がみられた。複合効果がみられなかった1段階のレベルでは鉛直振動と水平振動で関係なく評価が低い結果であり,4段階は水平振動の振動レベルによって評価が決まるという結果であった。水平振動と鉛直振動の比較では、鉄道通過時の振動に対しては大きさ,不快感,妨害感については水平振動と鉛直振動で差はなく,気になり具合については同じ刺激量でも鉛直振動より水平振動に対して振動が気になるという結果が得られた。参加者に同程度の刺激を提示するための改善を施して,次回に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は本実験を行うことを計画しており,次年度の課題の解決に向けて,2つの実験を予定していた。一つ目は,これまでの鉛直振動を対象とした評価実験に加えて,水平振動を加えることで振動に対する評価が異なるのか否かを検証するためのものであり,二つ目の実験は新幹線鉄道からの騒音と振動の影響と比較するための在来鉄道の騒音と振動を対象とした評価実験である。一つ目の実験は年度の前半に行い実験データを得た。後者の実験は,研究代表者が在外研究として10月から半年間フランスの機関に滞在したために石川高専での設備を使った実験の実施はできなかった。次年度に上記一つ目の実験成果をまとめつつ,二つ目の実験を行い,最終成果としてまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,研究計画の最終年度であるため,これまでの調査及び実験の成果をまとめて,学会等で発表する準備を整える。ただし,現在までの進捗状況で記したように,計画していた実験1つをまだ残しているため,年度の当初はその実験を遂行することを優先しつつ,これまでの研究成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
10月から在外研究で渡航したため,10月以降に使用予定であった経費は次年度に持ち越して使用することにしたため。
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Research Products
(2 results)