2019 Fiscal Year Research-status Report
歴史的市街における時間的重層性を形成する空間更新の実態解明と情報共有モデルの構築
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18K04480
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳沢 究 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60368561)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インド / ヴァーラーナシー / 街路空間 / 再開発 / 3Dスキャン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度も引き続きヴァーラーナシー(インド、ウッタル・プラデーシュ州)における現地調査を実施し(2019年9月13日から10月11日)、主に以下の3点の調査 ①街路空間の状況調査:昨年度同様、1929年および2000年の1/1000地図を基に、街路形態の変化、店舗種分布、ストリートファーニチャーの有無、ゴミの集積所、バイクの駐輪状況等の昨年度調査項目に加え、路上プラットフォームの寸法や使われ方、街路上空の張り出し物の状況についても悉皆的調査を行ない、予定していた旧市街中心部の調査範囲内の全街路を網羅した。②街路空間の3Dスキャン本調査:昨年度予備調査で確立した撮影手法に基づき、3箇所の街路を対象に、3Dスキャンカメラによる撮影・調査を行った。一部の街路では、あわせて店舗の奥行きの実測を行い、体感的な街路空間の拡がりに関する検討を行った。④ガンジス川の水涯線調査:雨季の増水時に街路がどの程度まで浸水し通行不能になるかの状況把握を行った。⑤街路の使われ方調査:ビデオカメラを用いた朝から夕方までの定点撮影により街路の利用実態を記録。⑥旧市街の再開発状況の記録:昨年度から大きく拡大した"Kashi Vishwanath Corridor"のための街区解体範囲の現況を記録するとともに、解体範囲に残る寺院・祠の残存状況を網羅的な調査を行った。また解体範囲に自然発生的に生じた経路(けもの道)の記録もあわせて行った。 9月には、日本建築学会大会にて、昨年度の調査に基づき、街路の形成過程と店舗分布に関する成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りの調査を実施し、分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
街路空間のマクロな変容に関しては、これまでに得られたデータ・資料の整理・分析により大枠を把握することができた。今後はよりミクロな視点から、融合寺院現象における空間的変化に関する分析をすすめ、街路空間の変容に及ぼした影響を具体的に検討する。また、この間の調査・分析から、バイタカと呼ばれる街路上のプラットフォームの存在が、その後の増築による街路空間の縦づまりの素地となっている可能性が伺われるため、より詳細な検討をすすめたい。 街路空間の3Dモデルの作成については、その手法と利点・限界などが把握できた。引き続き、街路空間の変容履歴などの情報をマッピングする手法の検討を行いたい。その上で、現地での住民ワークショップなどを通じて、そのモデルの活用可能性や情報共有ツールとしての有効性を検証することが今後の課題である。昨年度確認された、旧市街中心部における大規模クリアランスについては、今年度の調査結果をもとに寺院に与える影響を分析をすすめつつ、引き続き当該再開発が既存市街空間に与えるインパクトについて、事実関係の整理と並行して、検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
年度末に消耗品や機器類を購入する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務期間が生じ、店頭での検討や購入ができなかった。使用する予定であった分は、新年度に購入が可能となり次第すみやかに執行する予定である。
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Research Products
(6 results)