2018 Fiscal Year Research-status Report
居住誘導区域外に位置する斜面住宅地における住環境点検・改善プログラムの実践比較
Project/Area Number |
18K04482
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
志賀 勉 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00206070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 斜面住宅地 / まちづくり / 住環境点検 / 居住誘導区域外 / 立地適正化計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都市縮小時代のまちづくり手法として考案した「住環境点検・改善プログラム」の持続性や汎用性の向上を目指し、居住誘導区域外に指定された斜面住宅地2地区を対象とするプログラムの実践・記録と関連調査をもとに、(1)地区の住民集団や拠点施設の特性に応じたプログラムの運営手法と、(2) 地域まちづくり情報の体系的な管理・運用手法について検討した上で、(3)プログラムのマネジメントモデルを構築することを目的とする。 平成30年度は、(1)について、北九州市八幡東区枝光一区と枝光二区においてプログラムを実施し、そのプロセスを記録した。実施に先立ち、地区のまちづくり協議会および自治区会の役員と協議し、それぞれの組織事情や住環境課題を踏まえてスケジュールを立てて実施した。枝光一区では、自治区会事務局のリーダーシップのもと、住環境点検(6月)と検討座談会(9月)に加え、独自に企画した行政との検討会(9月)や実績報告会(2月)が区会行事・例会と連携して行われた。一方、コミュニティの空洞化が進む枝光二区では、現状の理解と意識啓発を目的に、町会長と民生委員による住環境点検(6月)と検討座談会(10月)までを実施した。 また、(2)について、これまでの活動実績や点検調査で得られた情報を蓄積したGISデータベースを整備した。これを活用した住環境保全の支援ツールとして、道路や宅地の状態を路線ごとに評価し保全する観点から、特に住民の主要な歩行生活動線となっている道路(主要歩行路)を抽出し、主要歩行路沿いの空家・空地の集積状況等を分析した。 加えて、先述した枝光二区のコミュニティの空洞化を踏まえ、自治区会の運営記録資料を収集整理および住環境点検で把握した空家・空宅地の発生量と管理状態ををもとに、自治区会や町会の組織運営と住環境の実態を捉えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北九州市は平成30年7月に九州北部豪雨に見舞われ、調査対象地区でも宅地の擁壁崩壊等の被害が数カ所で起きるなど一時混乱したが、住環境点検・改善プログラムの実践は概ね予定通りできた。また、研究成果の一部を学会発表し、学術研究論文誌に投稿する準備も進んでおり、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、(1)地域主体の特性に応じた住環境点検・改善プログラムの運営手法について、前年度の結果を踏まえて2地区のプログラムを改善実施し、プロセスの記録・分析および住民アンケート調査等を行って検証する。 また、(2)地域まちづくり情報の体系的な管理・運用手法について、GISデータベースを活用した集計・分析や主題図を2地区のプログラム実践で運用し、まち協・自治区会役員等へのヒアリング調査等を行って評価する。
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