2019 Fiscal Year Research-status Report
居住誘導区域外に位置する斜面住宅地における住環境点検・改善プログラムの実践比較
Project/Area Number |
18K04482
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
志賀 勉 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00206070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市縮減 / 斜面住宅地 / まちづくり / 住宅地管理 / 地域コミュニティ / 空家・空地 / 立地適正化計画 / 居住誘導区域外 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都市縮小時代のまちづくり手法として考案した「住環境点検・改善プログラム」の持続性や汎用性の向上を目指し、居住誘導区域外に指定された斜面住宅地2地区(北九州市八幡東区枝光一区と枝光二区)を対象とするプログラムの実践・記録と関連調査をもとに、(1)地区の住民集団や拠点施設の特性に応じたプログラムの運営手法と、(2) 地域まちづくり情報の体系的な管理・運用手法について検討した上で、(3)プログラムのマネジメントモデルを構築することを目的とする。 2019年度は、 (1)に関して、地域主体の特性に応じた住環境点検・改善プログラムの運営手法について、前年度の結果を踏まえて2地区のプログラムを改善実施し、プロセスの記録・分析を行った。その結果、枝光一区では前年度と同スケジュールで実施され、また、枝光二区では一区で行われている行政との検討会を組み込んで実施され、行政と地域住民組織(自治区会、町会、民生委員)の連携強化が図られた。これを踏まえ、行政検討会を先に導入し改善件数が向上した枝光一区の2015~2019年度の実践記録を整理・分析し、①点検活動で把握した問題箇所の改善行動を効率化・活性化するための運営の工夫、②問題箇所の仕分けと改善行動の主体・プロセス、③未改善箇所の傾向と課題を明らかにした。 また、(2)に関し、地域まちづくり情報の体系的な管理・運用手法について、GISデータベースを活用した集計・分析や主題図を2地区のプログラム実践で運用し、まち協・自治区会役員の意見の収集と区役所担当課へのヒアリング調査を行って評価した。その結果、④問題箇所と改善箇所の分布と改善実績の可視化が活動持続に有効であること、また、⑤問題箇所の改善・未改善による周辺影響の評価手法の構築が課題であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象2地区での住環境点検・改善プログラムの改善実施は予定どおり行うことができた。また、プログラム実践の評価について、当初計画では住民アンケートを実施する予定であったが、問題箇所の改善実績と運営主体である地域住民組織の役員等へのヒアリングをもとに分析することに変更した。研究成果の一部を学会発表し、学術研究論文誌に投稿する準備も進んでおり、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、引き続き、2地区での住環境点検・改善プログラムの実践を行うとともに、これまでの成果と補充調査をもとに、プログラムのマネジメントモデルの構築を行い、今後の課題について考察する。 課題として、新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的とする行動制限の継続次第では、今年度の当プログラムの実践が大きく制約されることが想定され、状況を踏まえて実施内容やスケジュールを適宜変更して行うこととする。
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Causes of Carryover |
出席を予定した第59回日本建築学会九州支部研究発表会(2020年3月)が、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止となったため、参加旅費の支出がなくなり次年度使用額が生じた。これは2020年度の調査旅費として使用するように計画している。
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