2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Countermeasures of Vacant Properties through Receivership/Conservatorship
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18K04489
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
平 修久 聖学院大学, 政治経済学部, 名誉教授 (10327091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 定継 明星大学, 理工学部, 教授 (10267693)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空き家 / 財産管理人制度 / 人口減少 / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ボルティモア市、ニュージャージー州、マサチューセッツ州を対象に、空き家財産管理人制度に関して、しくみ、成果、限界などを調査した。小規模自治体は州政府の支援であるが、州によりその差があること、空き家を自治体から修繕等を行う事業者に、より早く、より確実に、より安価に譲渡する仕組みが複数あること、空き家率が低い自治体は空き家ごとに、空き家率が高い自治体は街区ごとに、それぞれ対応していることが分かった。 研究期間全体の成果は次のとおりである。 (1)アメリカの19州及び1市では、空き家問題への対応のため、州法・条例に基づいて財産管理人制度を適用している。適用条件や財産管理人の職務・権限等に関して州の間で多様性がある。 (2) 空き家財産管理人制度は、①適用に関する判断の厳格さ、②原告の適格性の明確さ、③所有者の権利と財産管理人の権限とのバランス、④財産管理人の権限の明確さと、修繕費用などの資金調達と回収の措置、⑤公聴会での意見陳述の機会、自ら修繕を行うことの申立て、修繕後の買戻しの保証といった所有者の権利の確保が求められる。 (3)我が国でも、空き家問題への対応策として、財産管理人制度が適用されているが、民法に依拠しているため、①所有者不明もしくは相続人不存在の空き家に限定、②金銭的問題を前提にした制度、③所有者の立場に立つ不在者財産管理人、④修繕・解体の資金調達の困難さ、⑤法令で定められていない売却収入の分配順位などの問題がある。これらの問題を解決するためには、アメリカの事例を参考にして、空き家問題を念頭においた財産管理人制度を新たな法律に基づいて創設することが必要である。その前提として、不動産という財産権に対する考えの変更、ニューサンス概念の明確化などの課題があり、空き家問題が本格化する前に空き家財産管理人制度の拡充の検討が不可欠である。
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Research Products
(2 results)