2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the city center's built environment from the emotional aspects
Project/Area Number |
18K04493
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (20345078)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中心市街地 / 感情 / 量的アプローチ / 質的アプローチ / 都市環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,中心市街地のフィジカルな都市環境と市民が中心市街地に対してもつ感情との関係を明らかにし,現代都市における中心市街地の意味を再考することである.2019年度は,主に量的・質的2通りのアプローチで調査分析を行った. 【中心市街地アンケートに基づく分析】 14都市4200人に対するアンケート調査から,中心市街地に関する26の評価項目について因子分析を行い,全体では,表象性,お気に入り,賑わい,交通利便性,身近なくつろぎ,安心安全の6因子を得た.さらに,共分散構造分析によって,評価因子と中心市街地に対する好意,誇り,他者への推奨の度合いの関係を分析すると,交通利便性以外は各因子の評価が高いほど好意,誇り,他者への推奨の度合いが有意に高くなる影響が見られ,特に,表象性の評価が高いと中心市街地に対する誇りの度合いが,身近なくつろぎの評価が高いと中心市街地に対する好意の度合いが高いことが分かった.これらのことから,フィジカルな都市環境に対する評価と市民が中心市街地に対してもつ好意的な感情との関係の一端が明らかになった. 【岡崎市におけるインタビューに基づく分析】 中心市街地再生に取り組む愛知県岡崎市において,プレ調査としてインタビュー調査とその分析を継続中である.市内居住者に対して,過去と現在の中心市街地の特定の場所での体験と感情等に関するインタビューを行った.過去については,商業施設,オープンスペース,娯楽施設に関する言及が多く,ほとんどのエピソードは,人(親,友人,恋人,同じ・別の学校の生徒,商業従事者など)との関係を交えて語られる.付随する感情としては,期待,憧憬,楽しさ,優越感などに加えて,不安や恐れが混じることがわかった.現在については,河川,公園,公共施設などへの言及があった.本調査については質的分析を行うために,空間情報やライフログを加えた分析を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査(プレ調査)の調整が不調でインタビュイーが順調に集まらなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
14都市中心市街地アンケートに基づく分析については,中心市街地との接点等,他の観点も加えた詳細な分析を引き続き行う. 岡崎市におけるインタビューに基づく分析については,プレ調査で得られたデータに空間情報を与えるなど引き続き分析を行った上で,本調査としてインタビュー調査を行う計画であるが,新型ウィルス感染症対策の観点から対面インタビューが困難な場合は,オンラインインタビューまたはアンケート方式での調査に変更することを検討する.
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Causes of Carryover |
インタビュー調査(プレ調査)の調整が不調でインタビュイーが順調に集まらなかったため.2020年度にインタビュー調査またはアンケート調査の形で調査を行う.
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