2019 Fiscal Year Research-status Report
居住環境が育児期の女性の健康状態に与える影響について-ホルモン動態を中心に-
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18K04496
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
富岡 由美 東邦大学, 看護学部, 准教授 (70305853)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 居住環境 / 女性 / 育児 / GHQ / 女性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は育児期の女性の健康状態と居住環境との関連性に着目し、2回の調査を実施した。その結果、部屋数や居住空間の広さが育児期の女性の精神健康状態を悪化させる傾向があり、さらに部屋数が多くなるほど健康状態が悪化する結果であった。その要因として住居内での子育てや家事における活動量の多さが一つの要因と推察したが、空間に関連する生活活動量と精神健康状態には関連性がなかった。そこで産後の女性ホルモン(オキシトシン他)ホルモンの増加に着目し、空間と精神健康状態との関連性を検証する。オキシトシンは人に対する親和性や愛着・母性行動を誘引する。女性が男性と比較して、密集性に親和的であるのはオキシトシンの作用と考えられている。これより母親は常に家族の存在を意識できる空間を望み、「広いこと」が逆に精神的ストレスとなっている仮説を立て、オキシトシンや他の女性ホルモンの動態と住まいの満足度や居住環境(居住形態や空間他)との関連性を明らかにする研究を行う。 女性の健康状態は女性ホルモンによって大きく左右されるため、産後のオキシトシン分泌量と居住環境との関連性を検討し、居住環境が生理的変化に与える影響を探ることが目的である。また、他の女性ホルモンとの関連性も検討する。それと同時に主観的な健康状態と居住環境との関連性も検討するため、健康状態に対する調査項目を検討し、居住環境に関しては先行研究を参考に、調査項目を設定する。 現在までに、健康状態に対する調査項目と居住環境に対する調査項目を決定し、質問紙を制作し、この後プレテストを実施する予定となっている。健康状態に関してはこれまでの調査で使用したGHQ28を使用すると同時に性周期の変化、基礎体温などもデータとして収集する予定である。また、居住環境に関しては、代表者の既往研究をベースに住宅内での各部屋の使用目的や使用方法なども追加してデータを取る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性と居住環境との関連性に関する研究は第3弾であり、第2弾の残りの解析を優先させた。第3弾の調査を開始する前に第2弾の解析をすべて終わらせ、その結果を踏まえて今回の研究を進める必要があったことが、本研究の進行が遅れている理由である。第2弾の解析もほぼ終了となるため、2020年度は本研究を進めることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究倫理審査の承認を得て、データ取集を行っていく。ホルモンは微量で環境要因、生活様式、健康状態などに影響をうけるため、採取の方法や解析方法など専門家の意見も踏まえ進めていく。研究計画が遅れているため、研究協力者募る計画である。対象者のリクルートやデータ収集は研究協力者に委託し、時間の管理を行いつつ、後れを取り戻す努力を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画が予定通りに進まなかったため、購入物品費や人件費を予定通り支出することができなかった。次年度はホルモン検出キットやデータ収集のための旅費、分析用PCの購入、データ入力、データ解析費用などの支出を予定している。
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