2018 Fiscal Year Research-status Report
Urban morphological interpretation of urban district change process focusing on government office city and castle site for reorganization of public city center
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18K04503
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松浦 健治郎 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20335144)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 官庁街 / 都市形態学 / 城郭地区 / 階層 / 境界 / 堀 / 土塁 / 台地 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、近世城下町を基盤とする県庁所在都市のうち、昭和初期に城郭地区内に官庁街を形成した17都市を対象として、1)城郭地区内の境界の保存の程度を境界の種類や位置との関係から明らかにし、2)城郭地区内の官公庁施設及び公共施設の立地の変遷を境界との関係から明らかにし、3)境界と官庁街との関連性を明らかにすることを目標とした。 まず、対象地区における4つの年代のベースマップに境界をプロットし、境界保存の程度を示す指標である境界保存率を各年代で算出した。次に、上記のベースマップに街路系骨格、官公庁施設・教育施設・医療施設・文化施設・スポーツ施設・駅舎をプロットし、これらを階層別・年代別に整理し、境界保存率との関連性等を分析した。 その結果、以下の2点が明らかとなった。第1に、城郭地区の境界の変遷については、明治・大正期に官庁街の形成の際に活用された境界は、現在では一部を残して消失している。境界種ごとに境界保存率をみると、内側から3番目に位置する境界3が最も保存されていない。また、境界保存率は境界に活用された要素に大きく左右される。すなわち、自然的な境界である「山・台地」や「川」は保存される割合が大きく、人工的な境界である「石垣・土塁」、「堀」は保存される割合が小さい。第2に、官公庁施設や公共施設の総数は、明治・大正期から平成30年にかけて、年々増加傾向にある。施設種別にみると、官公庁施設は明治・大正期から昭和40年代にかけて増加し続けていたが、昭和40年代から平成30年にかけて減少傾向にある。一方、文化施設は増加傾向にある。また官公庁施設や公共施設は階層3に最も多く存在する傾向にある。階層1・2は城址公園として保存されることが多いこと、階層4は住宅地となっていることが多いことがその要因であると考えられる。 なお、この成果は日本建築学会大会などで発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であるフェーズ1「城址及び堀の復元の状況と官庁街の再整備の関係性の解明」・フェーズ2「戦後の官公庁施設の立地特性及び市街地変容の解明」の内容の大半を初年度に進めることができたことから、おおむね順調に進展していると言える。なお、初年度の成果の一部を令和元年度夏の建築学会大会梗概に2編、日本都市計画学会学術研究論文発表会に1編、投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フェーズ1「城址及び堀の復元の状況と官庁街の再整備の関係性の解明」・フェーズ2「戦後の官公庁施設の立地特性及び市街地変容の解明」については、本年度の成果を踏まえて、城郭地区の土地利用変化、特に私有地と公有地の関係性と境界保存率との関連性を分析する予定である。 「フェーズ3:「一団地の官公庁施設計画」と「シビックコア地区整備」の整備実態の解明」については、まず、「一団地の官公庁施設計画」11都市(東京・筑波研究学園都市・盛岡・秋田・名古屋・長野・東予広域・富山・静岡・甲賀広域)と「シビックコア地区整備」策定18都市(さいたま市・岡崎市・釧路市・二戸市・浜松市・旭川市・八雲町・那覇市・高松市・都城市・鶴岡市・筑西市・高山市・甲府市・栃木市・廿日市市・長岡市・鰍沢町)を対象として、各種図面・公文書等を収集する。次に、計画前の図面等を収集し、計画後の図面と比較することによって、計画前の都市基盤等との関連性を都市形態学的に分析する。計画前にも官庁街が形成されていた場合には、特にその違いを明らかにする。「シビックコア地区整備」では合同庁舎の建設と共に、市民利用施設を地区内に整備しているのが特徴として挙げられているため、市民利用施設の内容や位置にも注目する。2つの計画において典型的と思われる数都市について現地調査を実施することで、周辺市街地との関係性や立体的な空間特性を確認する。また、数事例について市民アンケート調査や定点観測調査を実施することで、市民に身近な官庁街になっているかを分析する。
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Causes of Carryover |
ゼンリン住宅地図出力サービス及び地図データベースを運用するためのPCの購入について、3月に発注したため、今年度の支出に間に合わなかったことから次年度使用額が生じた。これらについては発注済みのため、翌年度分として請求した助成金と合わせて、概ね、計画的に予算を執行できている。
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