2019 Fiscal Year Research-status Report
人口減少時代における低未利用地の創造的再編による都市の成熟化に関する研究
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18K04506
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
原田 陽子 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (00377475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低未利用地 / 空き地 / 非集約エリア / 雑草管理 / 不在地主 / 菜園利用 / 遠郊外住宅地 / 未利用地 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度に実施した調査によって明らかになった内容と実践的研究活動の概要を以下に示す。 ①空き地の菜園利用の分布特性と菜園所有者の土地利用実態(福井市市街化区域):市街化区域北西部における菜園利用化された空き地や未利用地の割合はフリンジ部分に近くなるほど多く、逆に駐車場の割合は中心市街地に近づくほど多い。また学生が福井市郊外の耕作放棄地を利用してコミュニティ菜園づくりを行い、空き地の菜園利用の促進などについて実践的に可能性を探っている。 ②駐車場の分布特性と駐車場化のプロセス(福井市まちなか地区): 30年前に比べてまちなか地区全体で駐車場が増加しており、特に住居系用途地域での駐車場の増加が目立っている。さらに、地権者のアンケート調査結果からは、親族から土地を継承したり、子供の居住地を確保ため土地を入手し、特に利用目的がないが、固定資産税を確保したり収入を得るために暫定的に駐車場として利用している。 ③低未利用地の分布特性と自治体による低未利用地の公的整備の実態(石川県加賀市):加賀市による公的整備事業は観光の中心部に限られているが、加賀市内の低未利用地は、縁辺部にも多く分布している。低未利用地所有者へのアンケート結果から、所有地について「売りたくても売れない」や「無料でも良いから手放したい」といった意見が地区全体で見られる。 ④非集約エリアの遠郊外住宅地の未利用地の管理・活用(福井県X市): 2018年度の居住者や不在地主に対する調査結果を踏まえて、2019年度からX団地居住者組織によって雑草等管理事業を実施することになった。雑草等管理事業に対し、不在地主には一定のニーズがあることが明らかになったが、一方で無関心な不在地主や連絡先の分からない不在地主も多いなど、居住者組織の努力だけでは限界があることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたよりも早く調査研究が進んでいると共に、さらに発展させて他の地域も含めて調査を行うことができている。また、調査結果を活かした実践的活動が複数の地域において発展的に展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の調査結果を学術論文としてまとめたり、学会などで発表を行うと共に、調査結果を踏まえて上記の提案が社会的に意義ある活動となるよう、様々な主体とも連携しながら、実践的研究活動も発展させていきたい。
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Causes of Carryover |
国内での調査対象地の自治会の反応や状況的に、R元年度は、当初想定していたよりも多くの調査対象地区における国内での実態調査を先に進めた方が良いと判断し、R元年度に計画していた海外事例調査についてはR2年度に実施することに変更したため、次年度使用額が生じた。したがって、次年度使用額はR2年度の海外事例調査の実施費用に使用する。
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