2019 Fiscal Year Research-status Report
Earthquake Reconstruction Housing Plan to Convert Emergency Temporary Wooden Housing into Disaster Public Housing
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18K04507
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
浅野 聡 三重大学, 工学研究科, 教授 (70231892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 応急仮設住宅 / 木造仮設住宅 / 災害公営住宅 / 震災復興 / 住宅復興 / 住宅復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度(令和元年度)は、三重県の被害想定調査結果を踏まえた仮設住宅の必要戸数・用地面積・建設候補地の把握、三重県における木造仮設の供給体制の把握と供給戸数の推計、仮設住宅を災害公営住宅に転用して再利用(継続利用)するための技術基準の検討について、熊本県宇土市の事例調査、関係者へのヒアリング調査等を通じて重点的に取り組んだ。主な研究成果は、以下の通りである。 第一に、三重県における建設仮設の供給体制は、県、市町、県と「災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定」を締結している4団体(プレハブ建築協会・全国木造建設事業協会・三重県建設業協会・日本木造住宅産業協会)から構成されていること。 第二に、三重県における建設仮設(および木造仮設)の供給可能戸数について推計方法を検討した上で算出した結果、理論上最大クラスと過去最大クラスの数値を平均すると、1ヶ月以内で約2,000戸(木造仮設は約900戸)、6ヶ月以内で約23,000戸(同約6,000戸)であること。 第三に、建設仮設の供与と継続利用の関連制度について把握すると、供与については、建築基準法によって必要な手続き(建築確認等)が不要になるとともに、建築基準(単体規定の一部と全ての集団規定)に対する制限緩和が可能であること。継続利用については、建設仮設の補強工事等を行い、供与終了までに特定行政庁による建築基準への適合が確認されれば、供与終了後に利用が可能であること。なお、このプロセスを経て恒久住宅(災害公営住宅)として継続利用された事例は不在(2020年3月末現在)であるが、類似事例としては単独住宅として継続利用を実現した宇土市の事例があること。 以上を踏まえて、次年度は、震災復興対応型木造住宅計画のフレームと位置づけの検討、県内のケーススタディ等に取り組み、研究を総括する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、三重県の担当者へのヒアリング調査を実施し、三重県における建設仮設の供給体制に関わる内容として、県による協定内容と締結先(4団体)の現状、4団体の役割分担と供給可能戸数、円滑で迅速な供給を実現する上で供給体制を構築している各組織(県・市町・4団体)の課題について把握することが出来た。 第二に、4団体による供給可能戸数の中で中部地方という広域エリアで算出しているケースに対して、三重県における戸数を算出できるように推計し直し、理論上最大クラスと過去最大クラスのそれぞれのケースについて、建設仮設(および木造仮設)の供給可能戸数について算出することが出来た。 第三に、仮設住宅を災害公営住宅に転用して再利用(継続利用)するための技術基準の検討として、建築基準法、災害救助法、特定非常災害特別措置法等における関連規定を分析し、建設仮設の供与期間、建築基準に対する制限緩和等を把握するとともに、建設仮設を恒久住宅(災害公営住宅)として継続利用するための技術条件(建築基準への適合の確認等)を把握することが出来た。 第四に、熊本県宇土市における単独住宅の現地調査を実施し、市条例にもとづく単独住宅として木造仮設の継続利用を実現することが出来た経緯、要因、留意点等について把握することが出来た。 第五に、以上の研究成果をとりまとめて、関連学会や専門誌上において論文発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、今までの研究成果を踏まえて、木造仮設を供与終了後に恒久住宅(災害公営住宅等)として継続利用することを目的とした震災復興対応型木造住宅計画のフレーム(枠組み)と位置づけ(市町村都市計画マスタープランや地域防災計画等との関係)について検討する。 第二に、震災復興対応型木造住宅計画のフレームにもとづき、三重県内の市町における仮設住宅の建設候補地を対象にしたケーススタディを行い、木造仮設の継続利用の妥当性の検証を通じて、同計画のフレームの修正を検討する。 第三に、研究を総括して、三重県内の行政担当者等に対する研究成果の報告会、三重大学地域圏防災・減災研究センター主催の防災シンポジウム、関連学会における論文発表等を通じて、広く研究成果を公開するように務める。
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Causes of Carryover |
次年度には、東日本大震災発生から10年を迎えることとなり、東北地方の被災地における仮設住宅の撤去がかなり進んでいるために、撤去後の課題等についても現地調査を通じて確認する必要性が生じたことから、現地調査費用を捻出するために研究費の一部を繰り越している。使用計画としては、過去に現地調査を実施したことのある岩手県山田町、宮城県東松島市や女川町等の仮設住宅の建設跡地等を予定している。
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Research Products
(5 results)