2018 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Housing Affordability and Family Formation among Young People:
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18K04512
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 住宅政策 / 住宅アフォーダビリティ / 家族形成 / 若年層 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は主として以下2つを実施した。 ①住宅アフォーダビリティと家族形成に関する国内外の既往研究の検討 国内外の住宅アフォーダビリティと家族形成に関連する既往研究を収集し,理論的フレームや実証手法について検討した。とくに近年の欧州諸国やアメリカでは,若年層の自立の困難や貧困・格差の拡大の要因として住宅アフォーダビリティの動向が注目されている。また,若年層における貧困・格差に関しては,親などとの世代間関係(親の社会経済的属性、住宅に関する親からの支援、相続・贈与等)に着目した実証研究がなされている。わが国では家族形成や住宅確保に関する家族の役割・影響が相対的に大きいことが考えられ、本研究でも世代間関係に着目した分析が必要である。 ②住宅アフォーダビリティと家族形成の関係に関する国際比較分析 各国の住宅アフォーダビリティに関する統計指標(住宅所有関係の構成,持ち家取得の状況,社会住宅の供給,住居費負担率,面積・室数・設備などの居住水準,住宅に関連する社会保障支出など)と家族形成に関する指標(親との同別居や結婚・パートナーシップ・同棲の形成,子ども数や出生率,離婚率など)を収集・整理した。比較対象国には,欧州諸国とアメリカ・カナダに加え,日本と同様に家族形成の困難や低出生率を特徴とする韓国・台湾も含めた。データはOECDのAffordable Housing DatabaseやEurostat,各国の統計調査等から収集した。日本を含む多くの国で,若年層における持ち家率の低下や親との同居率の上昇傾向がみられた。出生率については,近年の日本ではゆるやかに上昇しているが,世界金融危機以降の欧州諸国・アメリカでは低下傾向にあり,住宅アフォーダビリティの悪化が影響していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住宅アフォーダビリティと家族形成に関する国際比較データを多く収集できており、整理・分析を進めている。2019年度に利用するパネルデータ等については検討中であるが、BHPS(British Household Panel Survey)やLIS(Luxembourg Income Study)についてはすでに利用申請を行っており、分析可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は既往研究等のレビュー,住宅アフォーダビリティと家族形成に関する国際比較データの収集・分析をひき続き行うとともに,各国のパネルデータ等を用いてより具体的な実証分析を行う。また,2020年度に予定している独自調査(個別ヒアリング)の検討を行う。
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Causes of Carryover |
一部の物品が安く購入できたことにより、若干の差額が発生した。差額分は次年度の物品費にあてる。
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