2022 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Housing Affordability and Family Formation among Young People:
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18K04512
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 住宅政策 / 住宅アフォーダビリティ / 家族形成 / 若年層 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,前年度に実施した若年層の住宅アフォーダビリティと家族形成に関する調査(日本調査)の分析を引き続き行うとともに,イギリス調査を企画・実施した。 2023年3月にロンドン首都圏に居住する25歳~39歳の男女1,200名(イギリス国籍を保有)を対象としてWEBアンケートを実施した。調査項目は,個人や世帯の属性,家計における住居費負担,住宅取得の詳細,現住宅の状況(建て方や室数など)や満足度,住宅に関する考え方,家族形成の状況や意向などである。 家賃や住宅ローンを支払っている回答者のうち,可処分所得の4割以上を住居費に支払っている割合は全体で15.3%を占め,とくに民間賃貸住宅の場合は32.4%と高くなっている。住居費の負担感は,「かなり負担に感じている(27.1%)」と「やや負担に感じている(61.3%)」をあわせて,負担を感じている割合は約9割を占める。過去1年以内における「家賃」滞納の発生は「自治体や住宅協会の賃貸住宅」で25.4%,「民間賃貸住宅」で18.0%と高く,「持ち家(住宅ローンあり)」でも「住宅ローン」滞納が9.4%みられた。コロナ禍による所得の不安定や物価高も影響していると考えられる。 これまでイギリスは,早期の離家や住宅取得を特徴としていたが,親と同居する若者や住宅取得が困難な若者が増えていることが指摘されている。本調査の回答者では,親との同居率は22.9%を占めた。また、住宅を取得していない回答者では,住宅取得ができない,またはできるかどうか分からないとする割合が約5割を占めた。コロナ禍以後,低出生率の問題も指摘されているが,本調査で希望子ども数をきいたところ「2人(41.5%)」や「3人(17.3%)」が多かった。日本ほどの少子傾向はみられないが,今後は住宅アフォーダビリティと家族形成の関係について,詳細な分析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外現地調査(定性調査)を中止し,WEBアンケート調査(定量調査)に変更することにしたが,物価高等の影響から予算内での実施に調整(対象設定や設問数の変更)を要したため,実査に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度に実施したイギリス調査のデータについて,住宅アフォーダビリティと家族形成の関係についての分析を進める。加えて,日本とイギリスの比較によって,日本の特性や課題をより明確にしたうえで,家族・人口の諸課題の改善に寄与する住宅政策について,具体的な支援内容を検討したい。 査読論文の投稿先はいまだ検討中であるが,2023年度内のできるかぎり早期に投稿できるよう努めたい。
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Causes of Carryover |
論文投稿が2023年になったため,それに要する費用(投稿料および英文校正費)にあてる予定である。
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