2019 Fiscal Year Research-status Report
管理組合(HOA)を核としたまちマネジメントシステムに関する研究
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18K04514
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
齊藤 広子 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 教授 (10257529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中城 康彦 明海大学, 不動産学部, 教授 (30286009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 管理組合 / HOA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①日本におけるマンションと地域との協力体制に関する調査、②日本における戸建て住宅地における管理組合を核とした共同体制に関する調査、③アメリカラドバーンの住宅地マネジメントの実践の変遷を明らかにした。①に関しては、地域連携が求められる超高層マンションを対象に、東京都で実施し、地域連携の実態、その促進要因を明らかにした。特に政策の視点からみると、地域連携として組織加入、地域貢献施設の整備を促進する施策がある場合に、連携が多いとは限らない。また、地域の町会や自治会にマンションごと加入することが設定されている場合が多いが、その場合に連携が多いわけではない。さらに再開発事業での地域連携が多いとは限らない。しかし、地域に開いている施設としては公開空地、集会所がある場合、地域と共に活動をしている場合には交流があり、連携がある。マンションと地域連携の促進には、供給時から地域の活動や連携を想定した、組織連携の在り方、地域貢献施設の計画や運営方法等を設定する施策が必要である。②に関しては、兵庫県姫路市 「のぞみ野」293戸の戸建て住宅地(管理組合法人)、静岡県島田市「ガーデンプレイスしまだあさひ」22戸の戸建て住宅地(管理組合法人)、奈良県「あやめ池住宅地」マンション及び戸建て、近隣施設・住宅の加入組織(団地管理組合法人)等の運営実態と地域との関係を明らかにした。管理組合を核として地域の広がりは余り見られない。③HOAの発祥とされるアメリカ・ラドバーン住宅地の近年のマネジメント体制の変遷を明らかにした。マネジメントシステムは、ニュージャージー州法PREDFDAの変更によって大きく変化し、組織のメンバー、理事会運営、情報開示等に変化があり、より民主的運営体制に変化している。なお、わが国でも住宅地の管理・再生には、既存の住宅地にも適応できる法の整備等が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はほぼ予定通りに研究が進んでいる。しかし、アメリカ調査に関しては、現地で調査を実施する予定であったら、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、海外調査を中止とした。今後は現地での確認等を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本における管理組合機能を核としたまちのマネジメント手法確立のための課題と実践方法(組織体制、規約など)の提示のために、以下の点を明らかにする。 ①住民主体型の例としてアメリカHOAの管理方法の変遷である。ラドバーンを中心に、住民主体型のHOAの運営実態、課題、時代の変化に対応した変化、行政の役割や支援体制、市場や民間企業、NPOなどとの連携などを明らかにする。 ②専門会社型の例としてイギリスレッチワースの管理方法の変遷である。レッチワースを中心に、専門会社によるマネジメントの課題、時代の変化に対応した変化、行政の役割や支援体制、市場や民間企業、NPOなどとの連携などを明らかにする。 ③日本における戸建て住宅地のHOA(管理組合)の実態と課題である。戸建て住宅地において管理組合およびそれに準じる組織が設定されるケースが増えてきている。こうした組織の運営上の課題、また、組織が地域と連携する上での課題を明らかにする。 ④既成住宅地における再生のためのマネジメントの実践と課題である。管理組合のない住宅地、既成市街地、戸建て住宅地では再生の必要性が高まっているが、その主体がないため、また主体があっても全員参加とできず、賦課権もないことから、マネジメントが難しくなっている。その課題を明らかにし、必要な社会システムを考察する。 ⑤マンションのマネジメント、不動産経営の可能性の検討から、こうした仕組みをまちに広げるための必要な社会システムを考察する。
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Causes of Carryover |
海外調査が実施できなかったため。
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Research Products
(4 results)