2021 Fiscal Year Research-status Report
管理組合(HOA)を核としたまちマネジメントシステムに関する研究
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18K04514
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
齊藤 広子 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 教授 (10257529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中城 康彦 明海大学, 不動産学部, 教授 (30286009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戸建て住宅地 / 管理組合 / 法的根拠 / 裁判 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の取組みを行い、以下の点などが明らかになっている。 1. 日本における戸建て住宅地などにおける管理組合の法的課題について、判例をもとに分析を行った。結果、1)住宅地における共同管理の必然性、2)その住宅地の価値を維持するための共同管理の必要性の程度などから、全員参加組織およびそこへの強制加入を裁判では認めている事例がある。その際に、構成員については土地所有者か住宅所有者か、住んでいる人かは明確ではなく、むしろ拡大的な解釈が見られる。また、管理組合の機能は共用物の保有・維持管理、共同管理、そのための費用の徴収にあわせて、建築協定の運営が求められている事例が多い。管理組合の私権のコントロール権限に関しては、裁判ではみとめていない事例もあるが、明確に管理組合が可能とするという適正な考え方の確立が必要である。 2. 日本における戸建て住宅地などにおける法的根拠がない場合の管理組織の課題について、横浜市のY住宅地を対象に開発事業者、管理組織への聞き取り調査、住民へのアンケート調査を実施し以下の点が明らかになった。法的な根拠がなく、参加が任意の組織であるため、居住者に加入を強いることができず、加入率が低下すること、財産を保有できないこと等がある。しかし、開発事業者の支援と組織の地道な運営により、住宅地の居住者の約7割が加入し、組織をポジティブに評価している。問題の予防には、組織の持続可能性や運営の公平性から、居住者あるいは住宅所有者全員の加入が可能となる、法的根拠のある組織を存立させる仕組みの整備が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、アメリカへの調査はできていないが、そのほかは概ね予定通りに行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
管理組合(HOA)を核としたまちのマネジメントシステムの多様な形態、および HOAを活用していない、まちマネジメントシステムの多様な形態を把握し、まちマネジメントシステムに必要な方策を検討する。
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Causes of Carryover |
アメリカ調査が実施できず、次年度に使用額が生じており、今後、日本の実態調査のための調査費用として使用予定である。
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Research Products
(1 results)