2021 Fiscal Year Research-status Report
Community Design Method Corresponding to Shrinking Society in Disaster Recovery Area
Project/Area Number |
18K04515
|
Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
菊池 義浩 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (50571808)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 震災復興 / 北但大震災 / 復興建築 / 大豊岡構想 / 豊岡市 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から引き続き、2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、現地での研究活動を予定通りに遂行するのが困難であった。限られた期間を利用して現地を訪問し、研究対象である復興建築の土地台帳および登記簿謄本などの資料収集を行った。また、成果の一部を整理し、日本建築学会農村計画委員会集落復興小委員会が連載している雑誌に寄稿した。 これまでの調査で、北但大震災における復興建築の現状と変遷を明らかにしてきたが、現在ではこれら復興建築を有するまち並みを活用したまちづくり活動が進められている。例えば、城崎国際アートセンターが開催したツアー形式のパフォーマンス公演「カワラララプソディ」(2018年8月)は、地域のリサーチにもとづいて創作された物語をもとに、多様なアーティストが協働してまちの各所で展示・上演される作品を制作し、市街地空間をステージに演出したものである。復興建築の一つとされる豊岡劇場をメイン会場として、来場者は物語の小冊子とマップを持ってまちを巡りながら作品を鑑賞するスタイルとなっており、見慣れたまち並みに新たな印象を与えるような効果が図られている。 また、2020年11月には市街地に点在する、復興建築を含む空き家・空き店舗を利用した「アッチコッチ商店街」(主催:豊岡市,運営:アッチコッチ商店街実行委員会)が、地元店舗の協力を得て開催されている。市外各地から取り組みに賛同してくれるショップを募ってゲスト出店してもらい、来場者には密になることを避けながら各ショップを巡ることで、ゆっくりとまちなかを楽しんでもらうことを意図したものである。将来的な空き家・空き店舗の活用を視野に入れながら、人々の回遊性を促す空間的な仕組みとして復興建築を使った取り組みと受け取れ、人口減少社会における既存ストック活用を展開させる示唆を含むものと捉えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
兵庫県では2020年4月に緊急事態宣言が出されてから、たびたび同宣言およびまん延防止等重点措置が実施されている。2021年度は緊急事態宣言が計99日間、まん延防止措置が計113日間実施され、次期も長期休暇に重なるなど予定していた調査が十分にできなかった。 もう一年度時間をかけて取り組むことが適切であると判断し、補助事業期間再延長承認の申請を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から、北但大震災は発災から約一世紀の期間を経ており、その復興建築は生活と共に培ってきた文化が組み込まれた、創造的な活動を生み出す母体のようになっていると捉えている。2022年度は継続して調査結果の分析を深めるとともに、学術雑誌等での研究発表を目指す。 また、研究成果の集成として公開研究会の開催を検討しており、新型コロナウイルス感染症の状況次第ではオンラインでの開催も考慮しつつ、可能であれば現地で実施することで研究成果の社会還元に務めたい。研究者だけでなくまちづくり活動に携わる地元住民の方などもゲストスピーカーとして招待し、現地見学と討論会から災害復興の手法、近代都市計画・近代建築ストックの活用、縮退社会におけるまちづくりの考え方について理解を深める。 なお、調査研究を遂行するなかで新たにできた人的交流も活かしながら、息の長い研究活動・実践支援につなげていけるよう取り組みの展開を図る。
|
Causes of Carryover |
前述した通り、新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた現地調査が困難となり残額が生じた。次年度は現地調査および公開研究会の開催に必要な費用、分析用ソフトウェアの年間ライセンスの更新料などで使用する予定である。
|
Remarks |
一般雑誌での研究紹介(菊池義浩:復興建築~その歴史と活用~,ニューライフ4月号,pp.24-31,2022.3)
|