2018 Fiscal Year Research-status Report
公共工事における入札監視システムの機能強化に関する研究
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18K04517
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 和義 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (20194029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滑川 達 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (40332811)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公共調達 / 入札契約 / 入札監視 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 入札監視委員会の機能の実態調査とニーズの分析:発注者の公表している入札監視委員会の議事録を広く収集し、テキストマイニング(文章データから単語や文節を抽出し、その出現頻度、時系列変化などを解析する手法)で、入札監視委員会における審議内容の傾向や重点的課題、潜在的なニーズを把握した。 ② 入札結果の収集と統計的分析:発注者の公表している入札結果を入手、加工し、これに国内外で提案されている分析方法を適用して、その傾向を分析した。とくに欧米では早くから入札結果の公表が進められており、その分析によって、入札制度の適正さの判断手法の開発や応札者の入札の戦略立案等の研究分野が確立している。研究代表者、研究分担者は、国内の入札結果にこれら海外で提案された分析方法を整理しつつ、わが国の入札制度の特性の把握をすすめ、それに適応した分析方法の改変や開発に着手した。 ③入札監視委員会の議事概要のテキストマイニングの結果と入札結果の統計的分析の結果の関係の確認:事例として、東京都財務局における知事主導による平成29年6月26日以降公示の事案に対する入札制度改革を実施している。入札契約制度変更の具体的な内容は、「予定価格の事前公表を事後に改める」「JV(共同企業体)結成義務を撤廃し、JVでも単独でも応札可能とする混合入札を導入する」「1者入札となった場合、入札を中止する」「一定価格以下の札を無効とする最低制限価格制度から、低価格であっても履行が可能か否かを調査して有効・無効を判断する低入札価格調査制度の適用を拡大する」である。議事内容の傾向、実際の入札結果には一定の関係が認められた。 ④研究分担者と海外における入札契約制度を含む公共調達全般の動向の検討:とくに欧州における実際の入札契約と並行した事業実施時の実際のコスト追跡、把握の現状について整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 入札監視委員会の機能の実態調査とニーズの分析については、議事録の収集、テキストマイニング、AIソフトを用いたその分析等予定通りに進捗した。 ② 入札結果の収集と統計的分析については、当初から予定した入札結果情報サービス企業から有償のデータ提供を受けて、その傾向をこれまでに整理した内外の手法によって整理できた。 ③入札監視委員会の議事概要のテキストマイニングの結果と入札結果の統計的分析の結果の関係の確認について、東京都財務局における入札制度改革を事例に、入札監視委員会の議事内容の傾向、実際の入札結果に一定の関係を見いだせた。 ④研究分担者と海外における入札契約制度を含む公共調達全般の動向の検討について、欧州における現状を文献調査で整理できた。
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Strategy for Future Research Activity |
① 入札監視委員会の機能の実態調査とニーズの分析については、初年度同様の分析を範囲を拡げて行う予定である。 ② 入札結果の収集と統計的分析については、継続して入札結果情報サービス企業から有償のデータ提供を受けて、分析する予定である。 ③入札監視委員会の議事概要のテキストマイニングの結果と入札結果の統計的分析の結果の関係の確認について、初年度の東京都財務局における入札制度改革を対象とした分析に加え、社会的関心の高い公的発注者を選定して同様の分析を行う予定である。 ④研究分担者と海外における入札契約制度を含む公共調達全般の動向の検討について、欧米における実態調査を計画する。
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Causes of Carryover |
生じた理由は、その他経費が予定よりも安価になったことによる。 使途として、次年度実態調査等での使用を計画している。
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