2018 Fiscal Year Research-status Report
Study Regarding the Current State of Barrier-free Environments in Japan, China, and Korea and the promotion and evaluation of user participation of Barrier-free Facilities
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18K04519
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 儀平 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (60058162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バリアフリー環境 / 日中韓比較 / バリアフリー法 / 当事者参加 / 障害者団体 / バリアフリー評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本、中国、韓国におけるバリアフリー環境の到達点に対してユーザー参加がどのように実現し、その推進力となってきたか、またそれらをユーザー自身がどう評価しバリアフリーの発展に資すると捉えてきたかについて、日中韓の3カ国において研究者、障害者、行政担当者等の現地調査を踏まえて考察するものである。2018年度は、研究の初年度として、①海外では韓国での現地調査を実施した。また②国内では研究代表者が参加する北区、練馬区、渋谷区でのバリアフリー基本構想協議会での障害者参加と政策関与、成果への当事者評価等について現状を把握した。さらに③国内の当事者団体として障害者インターナショナル(DPI)日本会議のメンバーとの法制度等に関する意見交換を実施した。 ①では、2018年6月及び2019年3月に韓国障害開発院、ソウル市九老区、東大門区を訪問し、韓国バリアフリー法に規定された障害者団体によるバリアフリー適合検査の実施状況をヒアリングした。②北区及び渋谷区ではバリアフリー基本構想協議会、同区民部会のワークショップに参加する中で、障害者が政策決定や計画プロセスにどう関与し行動しているかについて計6回程度の現状確認調査を行い、協議会における意見交換の際の記録を分析している途中である。これら行政機関での発言状況を見ていると、肢体障害者以外の知的障害者等の発言が多く、物的バリアフリー環境のみではなく、ソフト面でのバリアフリー環境づくり(差別解消、合理的配慮)に関心が移行していることが判明した。行政対応も協議会での発言を見る限り丁寧な応対がなされていることがわかった。③以上、①②と並行して国内の有力な障害者団体であるDPI日本会議のバリアフリー部会メンバーとの意見交換を行っている。以上の3点は2019年度の研究活動にも継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エフォートとしては一定の時間を想定していたが、海外機関の研究協力者の研究機関(大学)の異動や学内他の研究業務との調整が難航し、やや遅れている。しかし乍ら相互に関連する研究領域もあり、研究計画上では大きな問題は生じないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗状況でも示した通り研究の進捗はやや遅れてはいるが、2019年度では、2018年度に実施した韓国ソウルに加えて中国北京市での現地調査を実施する。併せてバリアフリー基本構想で実現している国内のモデル的バリアフリー環境形成事例における当事者参加の実態と評価を行っていく予定である。また、地方公共団体の代表事例として、北区、渋谷区、明石市等で障害者参加の実態を調査する他、2019年度内に国土交通省が開催するバリアフリー事業評価検討会に参加し、全国的な障害者参加の動向を把握する。研究が順調に進展すれば当初予定通り2020年2月頃に日中韓公開セミナーを実施する。
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Causes of Carryover |
【理由】学内助成研究のエフォート増加や海外研究協力者の研究機関異動等により、当初予定していた国内外の調査研究が遅滞した。特に海外旅費使用が達成されなかった。しかし乍ら学内助成研究である「オリパラ研究助成」も本研究と多くの関連性があり、学内研究助成を履行しながら本研究に関わる十分な情報共有が効果的にできている。例えば、科研費用負担を伴わなかったが、国内自治体の北区、渋谷区ではバリアフリー基本構想業務に参画しながら障害者参加の実態について把握し、都内に本部を置くDPI日本会議、日本身体障害者連合会等との意見交換を実施した。 【使用計画】2019年度では海外研究協力者の協力を得ながら中国北京市での障害者団体調査、韓国ソウル市行政区など積極的に当事者参加を推進する自治体への当事者参加調査を予定している。国内では渋谷区、北区に加え大田区、明石市など複数の市町での訪問調査を予定している。2020年2月頃には東洋大学での日中韓とのセミナーを開催する予定である。以上から2018年で実施できなかった研究計画を当初通り遂行できると考える。
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