2020 Fiscal Year Research-status Report
Study Regarding the Current State of Barrier-free Environments in Japan, China, and Korea and the promotion and evaluation of user participation of Barrier-free Facilities
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18K04519
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 儀平 東洋大学, 工業技術研究所, 客員研究員 (60058162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バリアフリー環境 / 日中韓比較 / バリアフリー法 / 当事者参加 / 障害者団体 / バリアフリー評価 / 東京2020大会競技施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日中韓におけるバリアフリー環境の到達点に対してユーザー参加がどのように実現し、その推進力となってきたかについて評価し、バリアフリーの発展に寄与してきたかを比較考察するものである。しかしながら2020年度は、4月早々からの新型コロナの影響により、遅滞している中国、韓国両国の現地調査が実現できなかった。その結果、2021年度への研究期間の延長を申請した。研究実績としては、2020年11月に韓国障害開発院の主催による国際ユニバーサルデザインセミナー(ソウル)でZOOMにより発表し、日本の最新のユニバーサルデザイン施策やグッドプラクティスの紹介を行った。また中国関係では国際交流基金の計らいにより、2021年2月研究協力者である北京理工大学宮教授とのZOOMミーティングが実現、日中を取り巻く様々なバリアフリー課題を確認した。国内では新型コロナの影響により東京2020大会が延期されたため、東京2020大会による検証確認ができていない。しかし、11月には国立競技場竣工1年のユニバーサルデザイン点検を実施することができ、12月には国立競技場ユニバーサルデザイン・ワークショップに参加した障害者団体との「国立競技場UDWSの報告会」を行った。さらには、バリアフリー法改正や基本方針の策定検討会、改正建築設計標準の検討会、文科省の学校バリアフリー調査研究協力者会議等に参加し、各種バリアフリー政策、ガイドラインづくりにおける当事者意見の反映過程を確認した。研究成果の一部は、10月、日本福祉のまちづくり学会全国大会で、都内2地区の小規模建築物のバリアフリー化調査について発表し、同じく同大会で「2020オリパラ大会施設整備の経験から見えてきたインクルーシブなまちづくりの在り方」について、UDプロセスに参画した関係者との議論をコーディネートした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で記した通り、2020年度は新型コロナの影響により海外調査が実現できていない。研究自己点検でのマイナス面である。しかし、中韓の研究関係者とはオンラインでの一定の意見交換ができ、最終的な研究成果への反映が可能である。一方国内での当事者調査は各種委員会活動や共同作業等により、情報の取集面では十分であるが、取りまとめはやや遅れている。最も大きい理由は、東京2020大会が延期され当事者参加により実現したバリアフリープロセスとその成果が評価出来ないことである。2021年度には東京都福祉のまちづくり推進協議会、内閣官房ユニバーサルデザイン2020行動計画評価会議、国土交通省バリアフリー事業評価検討会を活用して東京2020大会の開催有無にかかわらず評価を行うこととしている。以上、海外調査部分の進捗状況と総合して、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究期間を1年延期して、何とかして中国、韓国での現地調査を遂行し、国内での当事者調査の考察をさらに高めていきたい。 中国では、可能であれば2021年冬季北京オリンピックの準備状況に関するアンケート調査を実施し、東京2020オリパラ大会準備との比較考察が行えるよう研究計画を修正する。韓国では引き続き韓国障害開発院へ研究協力を求め、当事者参加の実態と評価を行っていく予定である。 国内では、東京2020大会を含め事後検証を推進する。地域レベルでは北区、渋谷区、大田区、練馬区等で障害者参加の現状を把握しつつ、それらの評価と自治体への新たな提案を本研究成果として実現したい。また、日本福祉のまちづくり学会で新たに設置した未来型UD戦略特別委員会において、当事者参加によるバリアフリー推進の実態を把握し分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナの感染拡大の影響により中国、韓国の海外調査及び国内調査等の旅費使用が出来なかった。 そのため最終年度の延期申請を行い、国内外調査を進め旅費の計画使用を実現する。
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