2018 Fiscal Year Research-status Report
非医療従事者の一次救命における不確実性をふまえたAED・サインの適正配置
Project/Area Number |
18K04524
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 悟史 立命館大学, 理工学部, 講師 (00551524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小峯 力 中央大学, 理工学部, 教授 (60382826)
江川 香奈 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (10648603)
岩田 伸一郎 日本大学, 生産工学部, 教授 (30314230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | AED / 救命率 / 非医療従事者 / Multi Agent System / 伏見稲荷大社 |
Outline of Annual Research Achievements |
非医療従事者による救急医療環境を充実させるには,現状及び計画の評価検証手法が必要であるが手法が十分ではない。そこで,突発的な心肺停止状態の要救助者が発生した際の非医療従事者の一次救命行為による救命率をMulti Agent Systemを用いて確率現象として評価する手法の構築に取り組んだ。 2018年度においては,①非医療従事者による救急医療行為を充実させることが望ましい対象地を選定し現状評価を行った後に,②AEDを追加配置した場合の効果を明示した。なお2018年度中に想定した非医療従事者は,存在は不確実であるが医療行為を実施する意思と技能を持ち,AEDの場所も把握しているFirst Responderである。 ①では,医療従事者による一次救命を期待することが困難な対象として「伏見稲荷大社と稲荷山」を選定した。伏見稲荷大社と稲荷山は迷路性が高く敷地内に人口分布に偏りがある事例である。国内外から多くの観光客が訪れており,大社への参拝や千本鳥居だけでなく伏見稲荷大社の後ろに位置する稲荷山の全長4kmの登山道がある。しかしルート上に施設管理者は少なく保護の目が届きづらい。また1ヶ所しかAEDが設置されていない。このような対象に対して「FRの人数」と「AED処置開始までの時間・救命率」の関係性を把握することにより,現状の救急医療環境の評価として「救命率の期待値」と「FR育成の目標値」を提示した。 ②では,AED追加配置した場合の効果を把握した。①において現状ではFRの育成の目標値を達成した場合でも,救命率の期待値が高いとは言えない結果となった。そのため1パターンではあるがAEDを追加配置しシミュレーションを行った。その結果からAEDの追加配置にはFRの目標値達成時の救命率の期待値を約20%増加させる効果が期待できる明示した。AEDを追加配置した場合のFR育成の目標値も明示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に示したよう当初の計画通り2018年度は,Multi Agent Systemを用いた非医療従事者による救急医療環境の評価手法の構築の試行した。試行においては,存在は不確実であるが医療行為を実施する意思と技能を持ちAEDの場所も把握しているFirstResponderを想定し,実際の対象地にて研究を実施した。想定や対象を精査する必要はあるがシミュレーションの主たる部分は構築することができた。このことから順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019以降は,AEDを追加配置する際の配置パターンの検討,AEDの位置を知らないFirstResponderを想定したAEDサインの配置の検討,医療行為実施が不確実なByStanderを想定した場合のシミュレーションを予定している。一部に新しいアルゴリズムのコード化が必要であるが,2018年度に培った技能を用いて実施可能な範囲であるためこのまま研究を推進する。また現在は特定の対象地を対象としているが,より一般的な結果になり得る対象の精査も行う。
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Causes of Carryover |
当初予定したシミュレーションアルゴリズムよりも計算負荷が小さいアルゴリズムにて研究を実施することが出来たため用品費を削減することできた。旅費については予定よりも多くの打合せが必要になったこと,人件費については調査・データ作成補助が必要になったことからやや増加した。 対象地の変更によりシミュレーション用の用品費が必要になる可能性もあるため,研究の進捗とあわせて2019年度中の購入も検討する。
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Research Products
(5 results)