2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K04525
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
糟谷 佐紀 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90411876)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住宅 / 障害者 / 居住形態 / シェアハウス / 民間賃貸住宅 / 精神障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害者の地域自立生活における居住形態について、その実態と展望を明らかにしようとするものである。従来、障害者の住まいは「施設」か「親の家」の想定しかなかったが、今世紀に入り、障害者政策は「脱施設化・地域生活移行」へと方針転換を行った。しかし、障害者を対象とした住宅は、バリアフリー整備においては大きく前進したが、住宅供給に関してはあまり進展していない。 当初計画では、昨年に情報収集を行った障害者の多様な居住形態を訪問し、ヒアリング調査を実施する予定であった。しかし、昨年度末からの新型コロナウイルス感染拡大は収まらず、調査計画を立てられないまま、2度にわたる緊急事態宣言や遠方への外出自粛の状況は続いている。そのため1年間の延長申請と研究計画の見直しを行った。 調査のできない期間に、当初研究計画にはないが、戦後から現在までの障害者政策における「住宅」と住宅政策における「障害者」をキーワードに政府に出された勧告や答申、それに対する国の対応などを、社会的背景や経済状況などから分析した。現在、分析結果に関する論文執筆を行っているところである。 また、精神障害者に対すし住まいに関するアンケート調査とインタビュー調査を実施した。精神障害者の住宅政策は、他の障害より大きく遅れており、近年ようやく本格的に対応する動きがみられるようになった。しかし、身体障害者や知的障害者に対する施策の対象拡大にとどまる政策が多い実態がある。これは、精神障害の理解と居住実態の把握が不十分であることが理由と推察する。アンケート調査では居住実態と住宅変遷を、インタビュー調査では幼少期から現在までの障害と住まいの関連について尋ねた。幼少期から居住が不安定である調査対象者が多く、その理由には、障害を理由とする家族との離別、就労継続困難、近隣とのトラブルなどがあった。現在、調査結果について論文を執筆しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要にも述べたが、昨年度末からの新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた新しい居住形態の住まいの訪問調査(静岡県、神奈川県、北海道など複数)やグループホームの新たな支援形態の1つであるサテライト型住居の実態調査の計画を立てらなかった。現在もその状況は続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の期間延長が認められたため、研究実績の概要にも述べたように研究計画を変更し、文献調査と精神障害者に対して行った調査を論文にまとめる。 今年度も、コロナウイルス感染拡大の状況は同様と考えられ、遠方の新しいキョジュ形態の住まい(居住施設とする)での現地調査(住居見学と設立者や運営者、居住者へのインタビュー調査)は困難となる可能性が高い。近隣にある居住施設への調査を実施し、遠方の居住施設に対しては電話やオンライン、紙面による調査を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大の影響を受け、遠方施設への来訪調査がまったく実施できなかった。また、例年参加している学会が開催されなかったり、オンライン学会に参加できなかったりしたため、大幅な繰り越しとなった。 次年度も、訪問調査は困難な状況が続くと思われる。遠方の居住施設へは来訪せずに電話やオンラインインタビューなどに変更せざるを得ない。感染拡大の状況を良く把握して、来訪できるタイミングを逃さずに、できる限り実施したいと考えている。
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Research Products
(3 results)