2021 Fiscal Year Research-status Report
移住支援にみる戸建持家の自律的な賃貸流通の可能性に関する研究
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18K04529
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
渡邊 史郎 国立研究開発法人建築研究所, 建築生産研究グループ, 主任研究員 (70749209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角倉 英明 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (50512654)
永野 真義 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50793527)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戸建賃貸 / 地方都市 / 不動産 / 建物性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、松山市内で戸建賃貸事業(土地所有者が賃貸用の戸建住宅を新築し、賃料収益を得る事業)を展開する不動産事業者及びそのオーナーへの聞取り調査を実施し、収益用戸建賃貸住宅の実態を把握し、提供資料(物件の設計図書、フロー収入に関する記録等)の分析を行った。収益用の戸建賃貸住宅の特徴として、「戸建」という希少性を持ちつつも、家賃が集合住宅に比べ特別に高額ではない点が挙げられる。省エネ性、構造安全性、防音性などの建物の性能に関しては、特別に高いレベルを実現しているわけではないが、一般の賃貸集合住宅にはほとんど流通していない80㎡程度(3LDK)の広さをもち、空室率も極めて小さく稼働している。建物性能については、平均3~4年で退去する居住世帯にとってそれほど重視されているわけではなく、むしろ居住者の求める独立性や居住性に対するニーズに合致することで、戸建賃貸住宅が地方の賃貸住宅マーケットにおいて高い優位性を持っていることが指摘された。一方、集合住宅に比べ事業者側の経営的なメリット(空室率の低さ、売却も含めた処分のしやすさ)も多く、今後も供給が増えていくことが予想される。これら収益用戸建賃貸住宅の間取りやスペックに着目し、最終年度は、空き家となった戸建て持ち家が、高い優位性を持ちうる賃貸住宅として転用されるための、物件の状態や改修の内容及び工事方法、賃貸契約上の留意点などについて研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響もあり、予定していた現地調査、関連の資料分析の実施が難しくなった。そのため、実施期間を1年間再延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査の代替として、ビデオ会議を効果的に活用しながら、予定している調査を進めたい。最終年度は、本年度調査対象とした収益用戸建賃貸のスキームを参考にし、空き家の賃貸転用のスキームについて、主に地方を対象に研究していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた現地調査、関連資料の分析を実施することが難しくなり、関連経費の執行が進まなかった。来年度は、最終の取りまとめのための机上検討が中心となるが、これまで調査対象としてきた松山市と西海市の追加調査については年度前半を目処に計画的に実施していく。
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Research Products
(2 results)