2018 Fiscal Year Research-status Report
Urban Planning History of the Midlle East and North Africa region from the viewpoint of Japanese cooperation-Beyound the Islamic city-
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18K04530
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 康介 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00548084)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 「イスラム都市」論 / アルジェ / ル・コルビュジエ / ガルダイヤ / ATBAT / 進化型住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「イスラム都市」論批判の論点を現代の都市生活に求め、日本を含む国際協力に基づき実施されてきた都市計画の歴史を評価・解明することを目的としている。 本年度は、「イスラム都市」論に基づくフランス植民都市計画の事例として、まず、アルジェリアの首都アルジェを対象に、その都市計画史の概要を明らかにした。旧市街は、ローマ時代のグリッド状街路に起源を持ち、その後オスマン帝国の軍港として城塞として整備された。いわゆる伝統的なアラブの住宅といえる。新市街は、当初は旧市街の内部を強制収用・開発することによって広場や道路を創出したが、後に新市街地を拡張し、そこでアールデコなどのフランス建築を実現した。一方、これを批判したル・コルビュジエはアルジェの旧市街やガルダイヤの集落の調査を行い、歴史的空間との調和を目指した計画論を提案したが、その姿勢にはオリエンタリズムの影響が見られ、「イスラム都市」論につながる危険も孕んでいた。独立期に入ると、CIAMアルジェのメンバーがスラム調査を行いCIAMで発表する中で、より現実的な都市計画を創出していた。その一人であった日本の番匠谷堯二は、「トタンバラック移転用の住宅」を代表とする業績を残した。これは中庭式住宅の基本を踏まえながらも、廉価で、また進化型住宅としての可変性を備えた住宅計画であった。「全ての都市は植民都市である」というテーゼを検証しながら、建築・都市の計画のレベルで植民地主義やオリエンタリズム、そして「イスラム都市」論を考察することの課題を得た。 付随して、番匠谷らを含めたメンバーが、アルジェ以前において、仏語圏での業務を通じて構想していた「進化型住宅」の概要を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的に対して所定の成果を得たと判断し、おおむね順調に進展していると報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえ、アルジェにおける計画史研究を推進する。続いてシリアの事例研究に着手する。
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Research Products
(10 results)