2018 Fiscal Year Research-status Report
イタリアの斜面集落における地質特性に関する領域史的研究
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18K04533
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤松 加寿江 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 講師 (10532872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 伸也 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (80440072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イタリア / 集落 / 斜面 / ヴァルポリチェッラ / 石垣 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヴェネト州ヴァルポリチェッラ近郊、サン・ジョルジョ・ディ・ヴァルポリチェッラ集落が調査対象である。この集落は石灰岩を基盤岩とする標高395mに立地している。集落に至る街路は等高線に沿うものであるが、街路を支える擁壁および石垣はすべて地域固有の石灰岩で構築されている。これらの石垣について高さ、積み方、長さ、石の大きさから類型化を行った結果、古い部分と新しい部分とでは隙間の形状が異なり、排水と通風に適した石積工法が古い石垣に特徴的であることが明らかとなった。 集落は紀元前4,5世紀から居住が確認されており、その後カストルムの中心となったロマネスク聖堂は12世紀に遡る。集落においては最も傾斜が強い集落入口に立地する家屋2件を実測した。岩盤を刳り抜いた地下空間をもつ飲食店と角地に立地する塔状の岩盤の層位方向と集落中心部のロマネスク聖堂との層位方向に関係性があることが推測できた。 集落下方では傾斜面をいかしたオリーブ畑、ぶどう畑が耕作されている。石灰岩擁壁が集落および耕作地の輪郭を構築していること、集落の内外における傾斜と空間の関係を明らかにすることができた。 丘陵上部のサン・ジョルジョに対して、丘陵下部にサン・ジョルジョのコムーネであるサンタンブロージョ・ディ・ヴァルポリチェッラが立地する。ここは葡萄生産の拠点都市であるが、多数のヴィラを中心とした生産体系に基づいており、サン・ジョルジョとは全く対照的な景観を形成している。紀元前に遡る歴史の長い集落サン・ジョルジョに対して、近世以降の居住拠点であるサンタンブロージョとの領域の歴史的重なりが明らかとなり、本研究の領域史的意義を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地では家屋実測作業を効率よく進めることができたことにより、研究が順調に進んでいる。実測対象家屋が、歴史の長いオステリアとして集落の史料を保管しており、所有者が集落の保存再生におけるリーダー的存在であったことから、聞き取りや地域の歴史について確認することができた。集落のなかで最も急峻な斜面に立地する家屋であるため、排水、擁壁といった空間構造にも工夫が存在し、これらをキーワードに斜面集落であるサン・ジョルジョの形成過程について仮説をたてることができた。研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はピエモンテ州における粘土質あるいは石灰砂質の土壌に立地する集落を対象とする。粘土質および石灰砂質の集落および耕作地は、傾斜度が緩やかな必要があると考えられ、ヴァルポリチェッラとの比較において好対照をなすといえる。引き続き、実測調査を中心に集落および耕作地の空間構造を地質と関連させて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
初年度は旅程を調整することで、旅費分について次年度使用額が生じた。次年度における助成金は同行員の旅費、謝金に充当し、より広範囲かつ精度の高い実測調査を実施する計画である。
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Research Products
(3 results)