2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exorcism of the Bhutanese Buddhism and Black Wall Meditation Caves - Purification of Bonism Spirits and their Ceremony Places -
Project/Area Number |
18K04543
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
浅川 滋男 公立鳥取環境大学, 環境学部, 教授 (90183730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブータン / ポン教 / 非仏教 / 密教 / センデンデワ / クブン寺 / チメラカン / アムチョキム |
Outline of Annual Research Achievements |
三年ぶりにブータン調査を再開した。2019年の最終訪問地チメラカン(プナカ)とクブン寺(ポプジカ)から始め、記憶をたぐり寄せるようにして、チベット仏教寺院に溶け込んだポン教的/非仏教的要素に目を向けた。まずチメラカン本堂で魔女像アムチョキムの二度目の観察をした。中世の怪僧ドゥクパ・クンレーが若い娘に手を出すので激しい嫉妬の炎を燃やしていたところ、クンレーが舞い戻ってアムチョキムをなだめたという伝承もうかがった。次いでクブン寺を再調査した。クブン寺は仏教寺院を装うが、ポン教の開祖センデンデワが7世紀に開山したという伝承があり、二階隅にポン教秘奥の間を残している。黒く塗りつぶされた内装で、髑髏の図柄が目につく(撮影不許可)。その後、住職の許可を得て、本堂前の前身建物(石積壁)で目地の乾燥土を採取、さらに、その横にある「センデンデワの樹」の年輪サンプル採取した。帰国後、放射性炭素年代測定をおこなった。このイトスギの太径木は樹齢千年以上という伝えるが、1987年の洪水で倒れてしまい、今は樹幹が枯れて乾燥し、樹芯周辺は腐朽し空洞化している。住職の薦めにより、樹芯側で長さ20㎝程度のサンプルを得た。放射性炭素年代測定の結果、2σ暦年代範囲(確率95.45%)で1504-1597 cal AD (75.69%)および1617-1644 cal AD (19.76%)を示した。つまり、16世紀の可能性が高い(17世紀もあり得る)。倒木年からの年輪数は343~483年。内側の残存年輪から樹芯までを200~400年輪と仮定すると、植樹は12~14世紀ころと推定される。センデンデワ開山の7世紀まで遡らないのは確実であるけれども、寺の7世紀創立が否定されたわけではない。植樹の年代が12~14世紀であって、その時期に寺の開祖センデンデワを記念して植樹がなされた可能性がないとは言えないのである。
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Research Products
(12 results)