2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K04545
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 剣志郎 法政大学, 文学部, 講師 (80468719)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフラ維持管理 / 江戸 / 御府内備考 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の史料調査は山口県文書館および弘前市立図書館で実施した。前者では昨年未了に終わった両公伝史料を閲覧し、京都関係の史料を得た。また諸家文書目録を検索し、関連史料を探したが、十分な史料は得られなかった。後者では、弘前藩庁日記のうち、享和、文政、天保年代のものを部分的に閲覧した。江戸の都市インフラに関する記述をいくつか得られたが、いずれも断片的なものである。とはいえ本研究課題の目的のひとつである、江戸の都市インフラ維持管理に携わった主体を可能な限り把握するという点においては意味がある。アルバイトは、昨年度未了の御府内備考からインフラ維持管理主体を抽出する作業が終了した。これで19世紀前半段階での、江戸の町の大部分におけるインフラ維持管理の状況を一覧することが可能となった。つぎはここから詳細に迫りうる対象をみつけたいが、これまでのところ関連する史料をみつけることができていない。そのほか以前に収集した井伊家史料から天保期におけるインフラ維持管理に関する史料をみつけることができた。これは昨年度に公刊した拙著『江戸の都市化と公共空間』で課題としてあげた「一作限」に関わる史料である。その史料などを用いて2020年3月に関東近世史研究会・首都圏形成史研究会の合同シンポジウムでの発表を予定していたが、新型コロナウィルスの蔓延によりシンポジウムは延期となった。同シンポジウムは2020年12月の開催を目指して準備しており、本研究課題の成果発表の場としたい。なお、2020年2月から3月にかけて、史料調査出張やアルバイトによる作業を予定していたが、やはり新型コロナウィルスの蔓延のため中止せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は京都および大坂に史料調査出張に赴く予定であった。9月に京都調査を予定していたが、研究代表者の交通事故による入院のため延期せざるを得なかった。また入院の間、アルバイトによる作業も中断した。退院後も通常の生活に戻るまでに時間を要し、研究を進めることができなかった。2020年2月初めの再手術後、一気に回復し、2月末から3月にかけて調査出張を複数計画して準備を進めていたが、新型コロナウィルスの蔓延により中止せざるを得なかった。同じ理由でアルバイトも出勤させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの流行が落ち着くまで、史料調査出張は不可能である。2019年度に情報収集に努めた結果、京都歴彩館および群馬県立文書館にはインフラ維持管理に関係する史料の所蔵されていることが判明している。調査出張が可能な社会状況になり次第、この両館については史料収集に赴きたい。それが実現できない場合は、これまでに収集した史料のみで研究をとりまとめることとなる。その場合、京都および大坂関係の史料は断片的なものばかりであるため、江戸との比較は不可能である。江戸についての成果を中心にまとめることとなるだろう。
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Causes of Carryover |
2019年9月の研究代表者の交通事故・入院およびその後の身体機能の不全により、調査出張およびアルバイト指揮がおこなえなかったことを理由の第一とする。つぎに身体機能の回復後、2020年2月から3月にかけて調査出張およびアルバイトの動員による作業進行を計画していたが、新型コロナウィルスの蔓延によりいずれも中止せざるを得なかったことを理由の第二とする。今後、新型コロナウィルスの流行が落ち着き次第、調査出張およびアルバイトによる作業を進める予定である。新型コロナウィルスの流行が落ち着かない場合、研究計画を縮小せざるを得ないと考えている。
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