2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K04545
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 剣志郎 法政大学, 文学部, 准教授 (80468719)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 姫路酒井家文書 / 角筈村渡辺家文書 / 四谷塩町一丁目文書 / 江戸日記 / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も新型コロナウィルスの蔓延状況をみながらの研究活動となった。社会的にワクチン接種が進み始めた10月に、ようやく調査に出られると判断し、姫路市の姫路城郭研究室にて酒井家文書を閲覧した。閲覧を許可された同研究室に感謝申し上げる。姫路酒井家文書群中には江戸日記が複数ある。それは既に先行研究において都市インフラ維持管理の研究に活用されている。これ以上研究の余地はないと思っていたが、先行研究者より活用していない江戸日記がまだ存在することを教えられ、昨年度より閲覧の機会をうかがっていた。今回、現地で閲覧することができ、また同研究室の学芸員のご高配を賜り、史料群全体の情報も得ることができた。江戸日記の幕末部分は本研究課題において翻刻した。幕末期の都市インフラ維持管理状況について具体的な史料を得ることができた。 そのほか新宿歴史博物館のご高配で、角筈村渡辺家文書(慶應義塾大学所蔵)および四谷塩町一丁目文書(江戸東京博物館所蔵)から関係史料を得ることができた。その成果の一部は同館において6月に市民向けの講座で発表した。3月に首都圏形成史研究会と関東近世史研究によるシンポジウムで幕末維新期の都市インフラ維持管理について報告する機会を得た。幕末から明治ゼロ年代の史料を分析し、本研究課題の成果の一部として報告することができた。なお報告の準備過程で、都市インフラ維持管理の近代化の問題についてさらに研究する必要のあることが痛感された。コロナの状況をみながらの調査活動で思うに任せないが、少しずつ成果をあげていっていると思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延によって調査活動に制限がある。ただし昨年度のコロナ蔓延によって計画を一部変更したことから、遅れはやや取り戻したように思っている。 遠方への出張調査の実施が困難となり、都内の調査および活字史料の抽出にシフトせざるを得なかった。ただし、そのことで新たな発見や課題も見つかった。例えば、町と村との境界域におけるインフラ維持管理のあり方は、共同体的な仕法とそれをはみ出す場合とがあって、この狭間を検討することは「都市と農村」という古典的課題の検討に有用であるように思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの蔓延によって当初の研究計画は変更せざるを得ない。今年度に酒井家文書を調査することができたが、同文書群には江戸日記のほかにインフラ維持管理関係の史料の存在が確認された。これの調査を来年度まずは実施したい。当初計画にあった京都の調査も実施したいが、コロナによる制限が厳しくどうなるかわからない。酒井家文書が有望なので、これの分析をメインにし、そのほか活字史料から都市インフラ関係史料の抽出を実施するほうが現実的かもしれない。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延により調査活動に思うように出ることができなかった。またアルバイトによる研究室での作業も密閉空間となるため実施することができなかった。マイクロフィルム複写代についても、史料所蔵機関のご厚意で無償提供いただいたことから、予算の執行がなかった。 来年度もコロナの状況をみながら、いくつかの調査に出ることができればと思っている。アルバイトによる作業も再開できればと思っている。
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Research Products
(1 results)