2020 Fiscal Year Research-status Report
后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究
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18K04549
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
赤澤 真理 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (60509032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 寝殿造 / 装束 / 空間演出 / 王朝文化 / 古代中世住宅 / 打出 / 絵巻 / 復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平安時代から南北朝時代頃の后妃・女院の儀礼と生活様態の変容を住宅史の視点から明らかにする。本年度は、榎戸由樹(仙台市市民文化事業団)のご協力により、民族衣裳文化普及協会や三重県、明和町と、令和2年度文化庁リビングヒストリー事業「王朝文化体感プログラム(三重県)」に打出の再現が採択されたことを受け、本事業とともに、研究を推進した。本プログラムは、今日に現存しない女房装束を、絵巻や有職故実書等を基に再現し、平安時代の復元建物に設置することで、当時の女性の空間を体感することを目指す。 9月~11月にかけて、京都市における装束店、奈良県立美術館において、女房装束の調査研究を実施した。また、奈良県立美術館「みやびの色と意匠 公家服飾からみる日本美」を観覧し、装束に関する知識を得た。その結果、絵巻に示されたふくらんだ装束の再現のために、綿入装束の製作を試みた(服飾史・伊永陽子の指導)。 3月には、斎宮歴史博物館において、「類聚雑要抄指図巻」「斎宮の居室の復元模型」「源氏物語須磨巻」「源語図集」「女官飾抄」「女装束図録画帖」を調査した。また、平安の杜(9世紀の正殿等)の実見をした(研究の推進は、河田昌之・伊永陽子・森田直美・榎戸由樹・岸田早苗・梅澤淳各氏にご協力いただいた)。 この他に、「伝わるかたち/伝えるわざ─伝達と変容の日本建築」(東北歴史博物館特別展、2020年9月~11月)で、「障壁画」「座敷飾」の作品解説とコラムを担当させていただく機会を得て、本研究の背景となる古代中世の住宅史研究を装飾の観点から考察した。また、2019年に出版した著書について、日本建築史研究会で発表する機会を得て、古代中世における舗設の発生と変容、その伝承など、今後の研究を推進する上で重要な示唆を得た。 研究協力者である阿尾あすかは後醍醐天皇の宮廷における王朝文化懐古に関する成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
服飾史・美術史・国文学の研究者、民族衣裳文化普及協会の協力を得られたことで、女房装束の打出の再現を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年夏期には、斎宮歴史博物館の展覧会(再現!姫君の空間―王朝の華やぎと輝きの世界へ)で、復元された装束を設置し、展示することを目標とする。2021年秋には、后や女院御所の年表等を作成する作業を文献を購読し、推進していきたい。また、研究協力者である阿尾あすか(中世文学)、伊永陽子(服飾史)と議論をかわす。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、当初予定していた海外・国内調査が中止となった。その代替えとして、研究上必要となる古代中世における儀式書や古記録等を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)