2022 Fiscal Year Research-status Report
后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究
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18K04549
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
赤澤 真理 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (60509032)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 寝殿造 / 舗設 / 打出 / 后 / 女房 / 空間演出 / 復元製作 / 枕草子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、平安時代の寝殿造空間の遺構見学を目的に、法隆寺伝東院伝法堂の地蔵会に参列し、奈良時代の住宅遺構について実見する機会を設けた。引き続き、文献資料等で検討をしたい。また、10世紀『枕草子』の建築としつらいに関する記述を通読し、先行研究等を整理した。その成果を、国文学研究資料館開催「ないじぇる芸術共創ラボ」において、アニメーション映画監督片渕須直氏と対談し、『枕草子』に御帳や打出の詳細な表現があることを再認識した。また、儀式や日常時の御簾の巻き上げた高さについて助言をいただき、今後は絵画や文献史料をもとに、検討していきたい。いっぽう、富山県砺波市立美術館で、17世紀伝住吉如慶筆「源氏物語手鑑」(個人蔵)の調査をする機会を得た。本画帖には、御帳台の表現が散見され、御帳台に夜具などが置かれていることを確認した。打出に続いて、今後は、御帳台や几帳等も検討対象にしたい。この成果は、第10回源氏絵データーベース研究会のフリートークにおいて、口頭報告した。また、昨年度に文化庁リビングヒストリーの事業で再現した女房装束をもとに、一般財団法人民族衣裳文化普及協会の依頼により、東京と仙台市多賀城で、打出の再現に関わる一般向けの講座で口頭発表した。このほか、五島美術館の展覧会で「紫式部日記絵巻」及びその模本を実見する機会があり、格子や御簾、内部空間の舗設の様子を確認した。今後は模本も合わせた検討を推進していきたい。さらに、大和文華館で開催された18世紀の復古やまと絵派・住吉廣行の展覧会に行き、シンポジウムに参加することで住吉派および近世絵師の有職故実研究について多くの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『枕草子』などの新しい視点をいただき、研究を展開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次の課題は、建築空間に置かれた打出のほか、几帳や御帳台などを分析対象とすることが明確になってきた。2023年度で終了の予定のため、打出の変容と終焉についてを明確にしていきたい。
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Causes of Carryover |
予定していた調査、書籍購入が実施できなかったためです。
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Research Products
(5 results)