2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of the generating approach for townscape color planning
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18K04550
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
柳田 良造 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 名誉教授 (70510460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 町並み色彩 / コミュニティ / 町並み色彩計画 / 自生的秩序 / 課題発見型イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究での「創生型」の町並み色彩計画は、都市の町並みにおける色彩とは何か、その目的は何で、地域の住民にとってどういう意味をもつかという点に立脚したものであり、コミュニティの環境改善を惹起する重要な要素となりうるものとして位置づけることから出発する。研究の前提として、まず都市において建物群の壁を様々な色で塗ることが行われたのか、都市における町並み色彩の役割、意味を明らかにする。また近年、カナダのセントジョンズ市の住民の自主的なの町並み色彩ムーブメントが注目されるが、どういう経緯で、地域の取り組みとして展開してきたのかをさぐる。調査をもとに「創生型」町並み色彩計画の可能性を明らかにし、その計画の考え方を構築する。 具体的な調査と研究内容は以下の3つである。①コミュニティでの町並み色彩の起源と展開の分析調査、②セントジョンズ型の町並み色彩ムーブメント調査、③「創生型」の町並み色彩計画の考え方 30年度は文献資料調査、函館市と高梁市成羽吹屋地区での調査に加え、6回の研究会議を重ねることで、研究の方法論の核となるものが見えてきた。その一つに、町並み色彩の形成を共同体での自生的秩序として捉え、人々の暮らしの生活知の中からさぐる方法論を得た。もうひとつが我が国の町並み研究の課題をハイエクのいう「計画主義」に陥っている問題と捉えられる視点である。さらに、現代における自立的な住民による町並み色彩の形成の契機として「課題発見型イベント」がありうることをセントジョンズ市の事例から仮説として得ている。「課題発見型イベント」については、その方法論を提起し、事例を通して分析した論文「農山地域における課題発見型イベントによる地域づくりの展開」を日本建築学会計画系論文集に投稿し、現在再査読中である。 上記の作業をもとに、31年度のイギリス・アイルランドでの町並み色彩の現地調査の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度は文献資料調査、日本での事例調査と6回の研究会議を重ねることで、研究の方法論の核となるものを見つけ出すことができた。それは地域での町並み色彩の形成の捉え方と計画論の考え方である。 それらの作業をもとに、31年度のイギリス・アイルランドでの町並み色彩の現地調査の骨格を固め、調査旅行の準備を進めた。これらから、ほぼ計画どおりの作業を進めることができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策はイギリス・アイルランドでの町並み色彩の現地調査の成果の分析を進めるともに、町並み色彩の形成を共同体(コミュニティ)での自生的秩序として、人々の暮らしの生活知の中からさぐる方法を確立することである。もうひとつが、「計画主義」に陥らない自立的な住民による町並み色彩の形成の計画論の方法をさぐることである。推進上の課題は特にかかえておらず、計画どおりに作業を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外調査を、準備等の理由から翌年に変更したためである。
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