2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the generating approach for townscape color planning
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18K04550
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
柳田 良造 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 名誉教授 (70510460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 町並み色彩 / コミュニティ / 町並み色彩計画 / 自生的秩序 / 課題発見型イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年に予定していたカナダ、アメリカでの町並み色彩調査はコロナ禍により延期になったが、2019年のアイルランドの調査等と従来の研究をもとに啓蒙書『色を使って街をとりもどす』(学芸出版社、2020年3月31日)を上梓することができた。その内容はルネッサンス以降、建築学が見失ってきた色彩世界を建築実体に即して再発見し、建築家B・タウトなど色彩を設計デザインのテーマとした考え方が近代建築においても色彩が風土性の表現につながるものであることを明らかにしつつ、町並みが美しくなるとはどういうことなのかとの問いを行い、建築と町並みの実体から捉え直す町並み色彩計画とその実践を提起している。本の中で色彩計画の実践としてバルカン半島のアルバニアを紹介したが、ユーゴ内戦の影響で荒廃した首都ティアナの市長に就任したエディ・ラマが街の再建に立ち上がった取り組みは興味深い。エディ・ラマはわずかな予算のなか、中心部にある薄汚れた灰色の建物を鮮やかな色に塗り替える工事を始めた所、人だかりでできて、みんなが騒ぎ始めた。「この色が与える感覚は何だろう。これは首都ティアナが忘れていたものだ。我々ティアナに住むコミュニティのアイデンティだ。」そこから人々は街への愛着と誇りを取り戻し始め、ティアナの街の再建が始まった。本のタイトルはエディ・ラマの講演「Take back your city with paint」からとっている。 この本をもとにした研究集会を2020年に開催することができた。研究集会は都市環境デザイン会議、建築学会会員の他、学生、市民の参加もあり、東京(オンライン開催)、大阪(会議とオンライン併用開催)、札幌の3都市で行い、ゲストや会場との討議で建築色彩と町並みをめぐる議論を行った。改めて美しい魅力的な町並みとは何か、そこでの町並み色彩の役割の重要性を参加者と共に確認することができた。
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Research Products
(1 results)