2019 Fiscal Year Research-status Report
多体力学系の構造を用いた低推力宇宙機による惑星間ハイウェイ
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18K04560
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂東 麻衣 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40512041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 最適制御 / 三体問題 / スパース最適制御 / トランジット軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に低推力により多体力学系の不変多様体間を低エネルギーで移行する軌道をする制御方を最適制御理論に基づき構築した.低エネルギー最適軌道は本来の力学系との関連,評価関数が二次形式とな最適二次レギューレータにより解くことが可能であったが,低推力宇宙機の消費燃料を最小化する場合にはΔvとよばれる総速度変化量を最小化する必要がある.Δvの最小化は評価関数の原点において微分不可能な性質上勾配法などの適用が難しいとされる問題である.さらに,多体力学系ではダイナミクスの不安定性により長期間にわたる最適軌道を求めることが困難であった.このため,2019年度はΔvを最小化する手法の構築を行った.新たに構築した手法では燃料最小軌道における推力履歴におけるスパース性に着目し,近年注目を集めるスパース最適制御を適用した.また時間順方向と時間逆方向の伝播を組み合わせた拘束条件を用いることで,不安定性による軌道の発散の問題を回避する手法を構築した.提案手法により.不安定な多体力学系においても繰り返し計算を用いずΔvを最小化する推力履歴を求めることが可能となった.次に,惑星間を接続する軌道を設計する新たな方法として,トランジット軌道とよばれる,ゼロ速度曲線のネック部分を通過することのできる軌道群に着目した.トランジット軌道は周期軌道に付随する不変多様体の内部に存在し,周期軌道により分けられた領域間を移動することができる軌道であり,惑星間移行のためのエネルギー獲得の意味で効率のよい軌道であることが明らかとなった.特に3次元トランジット軌道を設計する手法の開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定したトランジット軌道の設計と解析を通じてその性質が明らかとなったため
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Strategy for Future Research Activity |
トランジット軌道が惑星間軌道の設計において有効であることがわかった.本年度はこのことをさらに発展させ,非トランジット軌道からトランジット軌道への投入方法について検討し,太陽ー地球ー月系4体問題において具体的な軌道を設計する.そのためにこれまでに構築した最適制御手法を適用することで,低推力により拡張されたトランジット軌道の設計および最適化を行う..
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Causes of Carryover |
人件費が不要になったたため,翌年度の国際学会旅費とする
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