2020 Fiscal Year Annual Research Report
Low-Thrust Interplanetary highway in Multi-Body Problem
Project/Area Number |
18K04560
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂東 麻衣 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40512041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多体問題 / 低推力 / 三体問題 / 惑星間軌道 / 不変多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球の重力のもとでの宇宙機の運動のように,1つの天体の重力のもとでの物体の運動を考える二体問題という.これに対して,地球と月の重力のもとでの宇宙機の運動のように,重力を及ぼす天体が2つの問題は三体問題とよばれる.三体問題の力学的な平衡点近傍に存在する周期軌道は図1のような安定多様体,不安定多様体という二体問題にはない特殊な構造を持つ.2001年にNASAにより打ち上げられたジェネシスミッションでは,不変多様体の性質を積極的に利用することで燃料効率の良い軌道が実現された. 一方,「はやぶさ」「はやぶさ2」に搭載されたイオンエンジンに代表される低推力連続加速を行う宇宙機(以下,低推力宇宙機)は高比推力であることからミッションの長寿命化・高精度化に貢献し,今後は深宇宙探査での利用の増加が期待されている.しかし,低推力宇宙機においては,天体の重力の他に常に人工的な推力が加わる運動となるため,これまでの軌道工学の設計法を適用することができない. 本研究は,低推力連続加速を三体問題の力学と融合することで,惑星の重力と低推力を効率よく利用し,惑星間を自由に行き来できる「惑星間ハイウェイ」を提案し,その基礎的な設計論と計算法を提案した.特に,三体問題の力学系に一定加速度を加え,推力を用いることではじめて実現可能な人工的な平衡点,人工的な周期軌道,さらに人工的な不変多様体を定義し,それらを数値計算により求める手法を確立し,三体問題の力学系の持つ強い非線形性により加速度を加えない不変多様体では到達しえない地点への移行を実現可能であることが明らかとなった.
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