2019 Fiscal Year Research-status Report
Modifying the Interlaminar Properties of Carbon Fibre Composites by Introducing a Variety of Mesh Layers
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18K04563
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中谷 隼人 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90584417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CFRP / 層間破壊靱性 / 層間メッシュ層 / き裂進展 / Rカーブ / プライドロップオフ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目となる2019年度では,層間メッシュ層導入による層間破壊靱性向上のメカニズムを明らかにすること,さらには,CFRP構造を対象とした層間モディファイ技術の有効性を判断することを主な目的とした. 開口率が異なる層間メッシュ層(PEメッシュ)を導入したCFRP積層板(Carbon/Epoxy)の層間破壊靱性を評価した結果,モードIIの層間破壊靱性値G_IIが開口率46%でピークを示すことを明らかにした.X線CT等を用いた詳細なき裂進展挙動観察により,メッシュ/エポキシ界面はく離およびメッシュ層/CFRP層間はく離の発生のバランスに起因するき裂進展の複雑化によってG_II値がピークを示すことを説明した.また,き裂先端の詳細な観察から,メッシュ/エポキシ界面の部分的または完全なはく離を区別することで,き裂長さにある程度の幅をもたせたRカーブ(き裂進展抵抗曲線)を新規に提案した.3Dプリンタを用いて製作したインターリーフを層間メッシュ層として用いた場合の層間高靱性化も,上記と同様のメカニズムで説明できることを示した. プライドロップオフによるCFRPテーパ構造を対象とし,切断層の上下の層間にメッシュ層を導入した.一方向CFRP試験片では引張負荷による層間はく離発生応力がテーパ比に関わらず2倍近くまで向上すること,擬似等方性CFRP試験片においても損傷発生応力とその時の変位が明確に増加することを示した.層間メッシュ層の導入により,層間はく離等の損傷発生を抑制したままテーパ比を大きく設計することができるため,CFRPテーパ構造における重量低減効果が見込める技術として有望であるとした. その他,ファイバメタル積層材(GFRP/Al)のVaRTM法による成形において,GFRP/Al界面にメッシュ層を導入することで成形時間の短縮が可能であり,成形後の耐衝撃性も改善できることについても扱った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CFRP積層板への層間メッシュ層導入による層間高靱性化について,断面観察やX線CTによる詳細なき裂進展挙動の評価からこのメカニズムを明らかにした.また実構造の例としてテーパ構造を取り上げ,この損傷発生応力の改善や構造軽量化に層間モディファイ技術が有望であること示した.このように,研究2年目に計画した準静的な負荷を扱う内容については,長時間の緻密な作業が求められるものであったが,予定通りに実施し,期待した結果が期間内に得られた. 疲労負荷のもとでの層間メッシュ層におけるき裂進展挙動評価の試験開始も予定していたが,試験機の整備・調整と確認試験を実施するまでに留まった.これについては主に研究3年目の計画として扱っているため,本研究課題の進捗について影響はないとした. 以上の事から,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
層間メッシュ層導入による層間高靱性化のメカニズムについて,ドロップレット試験等による各界面強度等を用いた定量的な議論により,そのさらなる解明に取り組む.同時に,疲労負荷のもとでの損傷進展挙動に対する層間メッシュ層導入による層間高靱性化の影響を明らかにするため,円孔やテーパ構造を有するCFRP積層板を用いた疲労試験を実施する.また,3Dプリンタで製作した任意形状のメッシュや金属メッシュを用いた場合の準静的負荷または疲労負荷における損傷挙動や疲労寿命に関する評価についても取り組む.最後に本研究課題の成果を総括する.
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Causes of Carryover |
2019年度交付分は計画通りに物品費と旅費を支出し,2018年度分の繰り越し分を物品費(寸法測定・撮影ソフトウェア)や旅費として有効に活用した.一方で,人件費・謝金の支出がなかったこと,および,その他で予定していた材料加工費(外注)が不要となったことや,学会講演会の中止による学会参加費の支出がなかったことが原因で若干の次年度使用分が発生した.これに関しては,2020年度請求分と合わせて,主に評価試験のための材料費・消耗品費やその他の費用として有効活用する.
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