2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of prediction and adjustment method of shock response spectrums for pyroshock tests of spacecraft equipments
Project/Area Number |
18K04570
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
柳瀬 恵一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (00770736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 貴史 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (90450717)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衝撃試験 / 衝撃応答スペクトラム / Shock Response Spectrm / 環境試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロケットの各部分離や人工衛星の太陽電池パドル,アンテナ等の展開では,保持部分のひずみエネルギーが瞬時に解放されるため大きな衝撃が発生する.そのため,宇宙機は打上げ前に,システム全機での分離部作動試験で動作の健全性と共に,搭載機器の衝撃耐性を確認している.各搭載機器は,システム全機試験での不具合発生による手戻りを防ぐため,システム組立前に機器単体で耐性を確認する必要がある.この場合,一般的には,実環境と異なる代替的手法で機器に衝撃が印可される.代替的手法はシステム全機の試験よりも数桁低いコストで行える半面,衝撃応答スペクトラムの「予測」と「調整」のどちらもが不完全である. 本研究では,部分構造合成法を用いて衝撃応答を予測する手法の検討を行う.また,錘を平板に落下(衝突)させて発生した衝撃を搭載機器に伝搬させて衝撃印可させる機械的インパクト式衝撃試験法に対して,衝撃伝搬経路に衝撃応答を調整する機構を挿入することによって,応答を調整する方法を検討する. 予測に関して,平成30年度においては①衝撃を印可する板構造,②衝撃レベルを調整するための構造,③搭載機器のそれぞれについて単純なモデルによって振動モデルを構築し,試験機に入力する衝撃に対して搭載機器の応答を予測する数学モデルの構築を行うと共に,衝撃試験機による実際の衝撃試験結果との比較を実施し有効性を確認した.また,調整機構については,調整機構を搭載して試験を行うための試験機の改修とそれらに関わる安全対策を施した.これらによって,今後の研究の基礎となる結果が得られた. 平成30年度の研究で得られた成果は国際会議(32nd International symposium on Space Technology and Science(宇宙技術および科学の国際シンポジウム))にて発表が予定されている(口頭発表登録済み.6月発表予定).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全体のアプローチは以下を想定している.【2018(平成30)年度】調整機構及びダミー供試対の製作及びそれらを搭載する試験機の改修を行いそれらの構造数学モデルを構築する.また,部分構造合成法で解析的にそれら結合して衝撃応答スペクトラムを予測し,調整機構を用いて実際に衝撃試験を行える環境を構築する.【2019(令和元)年度】ハンマリング試験で取得した搭載機器の動質量(印可力と応答加速度の伝達関数)を用いて部分構造合成法による連成解析を行い,試験結果と比較して予測精度を評価する.合わせて試験時間の削減効果を見積もる.また,質量・構造が変化した場合の評価を行う.【2020(令和2)年度】供試体の質量と1次共振周波数から動質量を仮定し,予測精度・時間短縮効果の評価を行う.
平成30年度は,構造数学モデルの構築の一部と試験機の改修を実施し,構造数学モデルを用いて製作すべき調整機構の特性についての検討を実施した.特性解析の中で,当初想定していた調整機構の構造が適切でない可能性が判明し,当初とは異なるアプローチも含めた再検討が必要と判断している.よって,現段階で調整機構の製作に至っておらず,進捗に対してはやや遅れが生じており,進捗の改善に向けて,作業を急いでいるところである.
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Strategy for Future Research Activity |
予測手法検討については,遅れている調整機構の検討に資するため,簡易な構造数学モデルベースでの予測方法を優先的に進め,その後,詳細モデルを用いた検討を行うこととする.本研究においては,非線形な応答が,予測に対してどの程度支配的な現象であるかを見極めることが重要である.よって,各モデルによる予測結果と実試験データとの比較を綿密に行い,予測モデルの改善を実施する.
調整手法検討については,宇宙機搭載機器の質量・共振周波数の情報をもとに,必要となる調整機構の特性を求めると,調整可能となる範囲を想定よりも大きくとらなければならない可能性がある.そこで,まずは平板とゴム接着による簡易な調整機構を製作し,実現性検討を実施する.これによって,調整機構の構造と衝撃応答の関係がある程度判明すると共に,本研究の方向性を確定できると考えている.その上で,5~20kg程度の搭載機器に適用可能な調整機構を製作し,有効性を検証する.
以上によって,現段階では研究期間の延長が必要な状況にはないと想定される.
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Causes of Carryover |
調整手法検討に関連して,宇宙機搭載機器の質量・共振周波数の情報をもとに,必要となる調整機構の特性を求めると,調整可能となる範囲を想定よりも大きくとらなければならない可能性があった.そこで,まずは平板とゴム接着による簡易な調整機構を製作し,実現性検討を実施することになった.これによって,調整機構の製作を2018年度から2019年度に遅らせることとなったため,物品費が想定よりも小さくなったことが原因である.2019年度には調整機構の製作を実施するため,研究期間全体としての使用計画に変更はない.
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