2018 Fiscal Year Research-status Report
複数航空機群の自律分散型管制を実現するためのローカルな制御・推定アルゴリズム
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18K04574
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
横山 信宏 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (10425788)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 実時間最適化 / 凸計画法 / 不確かさ / モデル予測制御 / 飛行意図推定 / 自律分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,確率論的な不確かさを考慮した実時間最適化アルゴリズムの開発を行うとともに,航空機の飛行意図推定手法および自律分散的な航空交通流形成手法について検討を行った. 実時間最適化アルゴリズムについては,Unscented変換に基づく確率的不確かさの表現と,それに伴う非凸制約条件の逐次凸化・凸緩和について新たな定式化を行い,多くの確率変数を伴う問題においても,高速計算が可能なものを提案した.また,このアルゴリズムを単機の不確かなモデル予測制御問題(風速およびインナーループの対気速度制御則の応答が不確かさを持つ問題)に適用し,実時間レベルで妥当な計算結果を得るのが可能であることを示した.今後,複数機の飛行意図の不確かさが絡み合う問題にも適用すべく,このアルゴリズムを拡張する予定である. 飛行意図推定については,従来の逆最適制御に基づく手法を拡張し,より多様な飛行意図の候補の中から実際の飛行意図を推定する手法について検討を行った.特に,飛行意図の推定可能性の数学的な条件についての検討を進めており,次年度以降にも継続する予定である. 航空交通流形成については,複数機が風環境のもとで自律分散的な干渉回避をしながら1つの経路に収束してゆくための凸計画・モデル予測制御に基づく定式化手法について提案を行い,機数・初期状態・風速などを様々に変化させた詳細な数値シミュレーションを通じて,実時間計算が可能であることやほとんどのケースで安全間隔を維持しながら効率的な合流が行えることを示した.また,複数無人機が不確かな回避行動を行う環境下で,不確かさを確率変数として考慮したシンプルな回避誘導則についても提案を行い,数値シミュレーションを通じてその有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実時間最適化アルゴリズムおよび自律分散的な航空交通流形成手法に関しては,一定の成果を得ることができたが,飛行意図推定手法についての検討がやや遅れているため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,多様な候補の中から実際の飛行意図を推定する手法について検討を進め,飛行意図の推定可能性の数学的な条件を整理するとともに,数値シミュレーションによる有効性検証を行う.また,推定される飛行意図およびその不確かさを利用した自律分散的な交通流形成手法についても,不確かなモデル予測制御問題としての定式化の検討を進める.さらに,この問題に対しても高速に解を求められるよう実時間最適化アルゴリズムの改良検討を進めるとともに,数値シミュレーションによる確認を行う.
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Causes of Carryover |
今年度実施した数値シミュレーション検討が既存の物品で対応可能な内容だったため,関連する物品(ワークステーション・ソフトウェア)の購入を先送りしたことが,次年度使用額が生じた主な理由である.令和元年度からより本格的な複数航空機の数値シミュレーションを実施するため,これらの物品を購入する.
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