2018 Fiscal Year Research-status Report
相互テレイグジスタンスを目指した遠隔操船システムの研究開発
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18K04580
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 忠胤 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70392686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遠隔操船 / 自律船 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,操船に2名の人間を介在させるという従来のコンセプトを崩さずに船員不足に対応するために,船橋の航海士と陸上の操舵手が船舶を操船する遠隔操船システムの研究開発を実施している.具体的には,①遠隔操船システム,②船舶情報システム,③評価システムの3項目に分けて研究を実施し,2018年度は以下の研究成果を得た. ①遠隔操船システム:衛星通信を用いて東京海洋大学附属練習船汐路丸を陸上から操船を実施する遠隔操船システムのベースを開発した.同システムでは,船橋の航海士から発せられる操舵号令を音声認識システムによりテキスト化してシステムに入力し,テキスト化した操舵号令を衛星通信で陸上のマスターシステムに送信し,操舵号令をマスターシステムにて音声化し操舵手に伝える.操舵号令を聞いた操舵手は,マスターシステムに搭載されている舵角入力装置で操舵を行い,この操舵信号は衛星通信で船上のスレーブシステムに送信される.スレーブシステムは,船内制御システムに操舵信号を出力し船舶の舵が制御される.この一連の動作について実船実験を実施し,操舵号令発令から実際に船舶の舵が動作するまでの遅れ時間を計測した. ②船舶情報システム:陸上の操舵手があたかも船橋にいると感じながら遠隔操船を実施できるようにするために,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いたVRシステムを開発した.開発したVRシステムでは,自船情報と自船に搭載されているAISより取得した他船情報を用いて船橋からの景観を再現したVR空間を生成しHMDより情報を提供する. また,操舵手へ提供する情報の基礎研究をとして,AISより取得した他船の情報から他船の動静を予測する研究を実施した. ③評価システム:衛星通信を介したマスタースレーブシステムのシミュレータを構築するために,練習船汐路丸と衛星通信を介した陸上システムの通信実験を行い基礎データを取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り組む,①遠隔操船システム,②船舶情報システム,③評価システムの3項目の研究がすべて順調に進捗している.また遠隔操船システムの基本シスステムとVRシステムが完成した点は,今後の研究を促進させるため上で重要な成果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,遠隔操船時の操船局面を避航操船と設定して研究を進めていく.そのため安全上の理由で実船実験が困難となってくるので,マスタースレーブシステムのシミュレータを完成させて,遠隔操船システム利用時の操船者の精神的負荷を計測しながらシステム開発を進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
英語論文の校正費用が年度末まで不確定だったため,若干の残額が発生しました.残額は次年度の論文校正費用の一部として使用予定である.
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Research Products
(2 results)