2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of measuring system for hydrodynamic impact force acting on equipment on deck
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18K04583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新宅 英司 広島大学, 工学研究科, 准教授 (50263728)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 波浪衝撃力 / 計測システム / 高分子圧電材料 / 太陽光発電 / 複合センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は船舶の甲板上に設置された機器,構造物に作用する波浪衝撃力を測定・記録するための計測システムを開発することを目的とし,特に計測用センサには波浪衝撃荷重と変形の両方を計測可能とする圧電材料を用いた複合センサを開発することを特長とする.初年度は複合センサの基本構成の確立と性能検証実験を実施することを予定していた. まず,研究目的に適したセンサの構成素材の選定,及びセンサの基本構造の確立することを目的に,計測感度性能,耐久性が期待される金属素材,高分子素材など,複数種類の素材を用いた荷重センサを試作した.さらに,水面衝突による衝撃荷重を計測可能な実験装置を作成し,試作センサの測定性能を検証した. 当初の予定では,耐食性があり,高強度のステンレス薄板を使用する構成を有力視していたが,前述の装置を用いた試験の結果,水面衝突時の衝撃荷重は当初の見込みよりも小さかったため,ステンレス製のセンサでは測定感度が低く,さらに,水面衝突時の温度変化影響を受けやすいことが明らかとなった.そこで,シリコンゴム素材を用いたシート状の荷重センサを作成した.本構成により,水面衝突時に適切な出力信号を検出できることが明らかになった.また,次年度以降の研究を進める上での解決すべき課題を得ることができた. 次に,センサ開発に加えて計測システムで利用する電源について,試験的な研究を行った.太陽光発電を有力な電源として予定しているが,船舶の航行に伴い船上では太陽光モジュールの方位が変化することが予測され,さらに発電モジュールに陰影が生じることも考えられる.そこで本年度は太陽光発電パネルを複数用いた実験装置を作成し,部分陰影が生じたときの発電特性について実験による検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始時の予定では,耐食性があり,高強度のステンレス薄板を使用するセンサ構成を有力視していたが,初年度の研究の結果,測定性能の不足と耐環境性に難点があることが明らかとなった.これに伴いセンサに使用する材料を柔軟なシリコンゴムに変更したことにより,予定よりもセンサ厚さが増加し,複合センサとしての構成方法を再検討する必要が生じたため,本研究課題の一項目についての進捗が予定よりもやや遅れている. 一方,次年度以降に予定していた計測システムの開発を前倒しして実施しており,計測システムの主要な構成要素である電源についての研究を並行して実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の実施計画に基づき,複合センサの改良と耐久性検証を行いつつ,センサ用の信号処理回路の設計,試作と動作検証等,計測システムに関する研究を本格的に開始する.初年度から継続して太陽電池を用いた電源システムの開発を行い,マストなどの垂直曲面に適用して計測装置の動作に十分な電力確保を可能とするための発電システム設計・試作と検証のための実船試験を行う. 一方,初年度の課題であった複合センサ開発については,初年度に追加したシリコンゴム素材を用いた衝撃力センサの測定性能をシミュレーション解析と模型実験から明らかにするとともに,これに適した複合センサの構成方法を開発する.
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