2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04589
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (70446590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 里奈 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (60618776) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 推薦航路 / 船舶交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は二年目として予定していた以下の2点を実施した。 (1) 新ルール導入から一年後の航跡データの取得 (2) 行動分類と行動内容の解析 上記のうち、(1) については、本研究にて対象海域とした伊豆大島西岸沖海域の推薦航路が平成30年1月に運用開始され、これに対して一年目に導入直後のデータから船舶通航経路モデルを作成し、その後本年度までに導入後から約二年間、定期的に船舶位置データ (AISデータ) を収集してきた。収集したデータは、船舶IDを用いて船舶毎の位置データを集約する処理によって航跡として扱うことができるようにし、推薦航路付近を航行する各船舶の航路に対する位置取りを確認するとともに、基準点を設けて遵守率を算出した。これらは、一年目に行った申請前期間の導入前データ、一年目実施中の導入直後データと同様の処理方法を用いて、進行方向や船種等による整理を行うことで、交通条件別の統計値を得ることができた。 また、(2) については、船舶通航経路モデルとして、特定の海域における船舶の行動を定義するための情報のセットとして、船舶の隻数、入出位置、平均航跡線、航跡線上の主要位置における断面方向分布を決め、(1) で取得した推薦航路導入直後と申請前の航跡群を用いて、導入前後と一年後の船舶通航経路モデルの構築を行った。交通行動の相違を確認した上で、行動分類と分類内容の解析を行った。その結果、経路毎に異なる船舶行動のあり方が確認された。また、本モデルを用いることで、船舶の遭遇頻度の計算が可能となったことから、遭遇頻度やOZTの相違についても詳細に確認した。 以上の進捗により、本研究の目的である新しく交通ルールを適用した場合の船舶行動の予測に必要となる新ルール下の船舶行動について、導入一年後におけるデータ取得、モデル化、解析、評価が十分に行えたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目に予定していた項目は十分に実施することができた。 伊豆大島西岸沖海域の推薦航路が平成30年1月から運用され、その後約二年間に渡り付近におけるAISデータを入手して船舶の位置データを抽出し、船舶IDを用いて個別の船舶を識別して航跡を取得した。取得した航跡を元に通航方向や発着地を分類した。また、AISデータに含まれる静的情報を参照して船の種類や大きさを取得し、一年目に処理した結果と併せて船舶行動の分類を行った。それぞれの分類毎に推薦航路の遵守率の変化を調べるため、基準点を設定して航跡から遵守率を導出した。また、これまでに構築した船舶通航モデルを用い、当該海域における船舶の遭遇頻度等を実際に収集した航跡データから計算し、その変化状況について解析することができた。これらにより、推薦航路導入後の船舶の行動の実態とそれにより生じた衝突危険状況の変化や、あまり改善がみられていない船群における行動実態等の分析を行うことができた。以上により、二年目に予定していた内容を順調に遂行することができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、推薦航路導入による行動変化は概ね安定しているが、その後の経時変化を確認する。また、本年度の課題として、昨年度までの行動変化の分析に基づき、これらの変化を整理、体系化することで新ルール導入に伴う行動の予測手法を構築する予定である。構築する手法には、これまでに収集してきた新ルール導入前後のデータを用いる。最終年度であるので、今後、同様の予測を必要とする他の海域への手法適用等を実現可能にできるよう、ここまでに開発してきた技術、開発してきたツール群の整理を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費での購入を予定していたデータの調達を、当該年度は所属研究所が行ったことから、購入の必要がなかった。一方で、データを処理する計算機と研究発表のための外国旅費が計画よりも高額であったことから、これらの間で調整し、残額が次年度への繰り越しとなった。 次年度は投稿中の雑誌論文が掲載されれば掲載料が計画より高額であることからこれに充てたいと考える。
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Research Products
(1 results)