2019 Fiscal Year Research-status Report
微生物機能を用いたコンクリート材の耐久性向上への挑戦
Project/Area Number |
18K04595
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
牧田 寛子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40553219)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | コンクリート / セメント系材料 / 微生物機能 / 海洋環境 / 劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、微生物機能が海洋環境中でのコンクリート材への耐久性向上に有効であるかについて、その場の微生物活動を活発にするために有機物を添加した試験体を用いて、室内および実際の海洋環境下での暴露・浸漬実験により明らかにすることを目的としている。 2019年度は、昨年度に実環境に設置・暴露した試験体および実験室内の海水水槽に浸漬した試験体をそれぞれ回収し、浸漬前後での試験体の物理化学的な変化とそこに繁茂した微生物叢解析を実施した。 実際の海洋環境に438日間設置した試験体は、有機物の添加の有無に関わらず水セメント比によって表面の劣化が異なっており、いくつかの試料は泥化が顕著であった。マイクロフォーカスX線CTにて内部の状況を確認すると、表面部分での密度の低下がそれぞれ観察され、それらの密度低下の状況は目視での観察結果と整合した結果となった。実験室内の海水水槽に浸漬した試験体についても同様に目視およびCTでの観察と、X線回折(XRD)分析による水和物の同定を実施した。なお、水槽の試験体は浸漬から1,2,3,4ヶ月および約1年後に回収を行なった。水槽の試験体に関しても、有機物の有無に関係なく実環境と同様に水セメント比の違いによって表面の劣化状況が異なっていた。水和物の変化については、浸漬時間が長くなるにつれ、エトリンガイト等の生成が確認され、これらの水和物の生成により劣化が促進したと考えられる。それぞれの試験体に繁茂した微生物叢を16S rRNAアンプリコン解析にて確認したところ、周辺の海水や浸漬前の試験体とは異なる微生物叢を検出したことから、試験体(によって形成された環境)に好んで生育する微生物種を特定することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、実際の海洋(深海)環境に設置した試験体の回収に成功し、そこに繁茂した微生物叢解析の実施、水槽を用いた試験体浸漬実験を実施することができた。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
海底および実験室内の水槽に設置した試験体を引き続き回収し、物理化学的変化の調査、微生物学的調査(微生物群集解析、培養による機能試験)によって海洋環境下でのコンクリート材の挙動と微生物による影響を明らかにする。
|
Research Products
(7 results)