2018 Fiscal Year Research-status Report
海中周囲雑音による海中物体画像化のための固体-液体複合凸型非球面音響レンズの研究
Project/Area Number |
18K04597
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
森 和義 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70259894)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 海洋科学 / 海洋工学 / 海洋探査 / 音響レンズ / 海中周囲雑音 / 物体映像化 / 非球面レンズ / 凸レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の海中音響映像化装置において周囲雑音は探知を乱す妨害音と見なされてきた.しかし,海中周囲雑音を音源として積極的に活用する革新的なアイディアが提唱されている.この手法はアクティブでもパッシブでもない第3の新しい方式であり,周囲雑音イメージングとも呼ばれている.申請者は,世界で初めて音響レンズを導入した実験装置を開発し,テッポウエビに代表される沿岸域生物雑音を利用して無音物体の2次元画像の取得に成功した.本手法をより広い海域において適用するには,自律型無人潜水艇などの水中航走体艇首に音響レンズを実装することが必要である.しかし,プラスチック材等の単一固体凸形レンズでは内部減衰により音波が十分に集束しない.本研究では,固体を薄い外殻とし,内部に減衰の小さい液体を用いた固体-液体複合凸型レンズを提案する. 初年度は,候補となるレンズ材料として,固体および液体の材料をいくつか選定し,シングアラウンド法による音速の精密測定を実施する予定であった.そして,それを基に屈折率を求め,音線解析によって無収差化を施した非球面凸レンズ形状を検討し,さらに時間領域差分法による波動解析を行って利得や解像度等のレンズ性能を予測する予定であった.しかしながら,音速の精密測定を実施できたのは一部の材料のみで,音線解析および波動解析は暫定的な結果しか得られておらず,目標とした非球面凸レンズの最適設計には至っていない.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補となるレンズ材料として,固体ではシンタクチックフォーム,液体ではフロリナートを選定した.フロリナートに関しては,シングアラウンド法による音速の精密測定が完了したが,シンタクチックフォームは音速測定用の試料の入手だけに留まった.またレンズ設計においては,フロリナートは得られた測定値,シンタクチックフォームは文献からの参照値を用いて暫定的な音線解析を行い,無収差化を施した非球面レンズ形状の検討を進めた.そして,暫定的なレンズ形状により,時間領域差分法による波動解析を進めたが,現時点ではレンズの最適設計には至っていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度には,まずは選定された固体材料シンタクチックフォームに対してシングアラウンド法による音速の精密測定を実施する.そして,液体材料フロリナートの音速測定値と併せて音線解析を行い,無収差化を施した非球面レンズ形状を決定する.また,時間領域差分法による波動解析を行い,レンズの利得および解像度の性能予測を行い,レンズの最適設計を進める. さらに,水槽による縮尺実験を行うため,シンタクチックフォームを切削加工してレンズ試作を行い,またレンズを固定しフロリナートを満たす容器およびハイドロフォンを固定するための治具を製作する.水槽実験では,レンズ後方のフロリナート内に形成される焦点領域の音場を計測し,設計値と一致するか検証を進める予定である.
|
Causes of Carryover |
音響レンズの固体材料として想定していたシンタクチックフォームについて,メーカー厚意により試料が無償提供されたために次年度使用額が生じた.翌年度に請求した助成金と合わせて,水槽試験に利用する試作レンズの製作費に使用する計画である.
|
Research Products
(3 results)