2020 Fiscal Year Research-status Report
海中周囲雑音による海中物体画像化のための固体-液体複合凸型非球面音響レンズの研究
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18K04597
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
森 和義 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70259894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋科学 / 海洋工学 / 海洋探査 / 音響レンズ / 海中周囲雑音 / 物体映像化 / 非球面レンズ / 凸レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の海中音響映像化装置において周囲雑音は探知を乱す妨害音と見なされてきた.しかし,海中周囲雑音を音源として積極的に活用する革新的なアイディアが提唱されている.この手法はアクティブでもパッシブでもない第3の新しい方式であり,周囲雑音イメージングとも呼ばれている.申請者は,世界で初めて音響レンズを導入した実験装置を開発し,テッポウエビに代表される沿岸域生物雑音を利用して無音物体の2次元画像の取得に成功した. 本手法をより広い海域において適用するには,自律型無人潜水艇などの水中航走体艇首に音響レンズを実装することが必要である.しかし,プラスチック材等の単一固体凸形レンズでは内部減衰により音波が十分に集束しない.本研究では,固体を薄い外殻とし,内部に減衰の小さい液体を用いた固体-液体複合凸型レンズを提案する. これまでに候補レンズ材料の音速精密測定を完了し,その測定結果を基に屈折率を求め,音線解析によって無収差化を施して最適化した非球面凸レンズ形状を決定した.さらに時間領域差分法による波動解析を行って利得や解像度等のレンズ性能を予測し,非球面凸レンズの設計が完了した.しかしながら,コロナ禍によってレンズの試作が遅れ,予定していた水槽試験によるレンズ性能の評価には至っていない.本研究を完遂するには,試作レンズを用いて水槽による縮尺実験を行い,集束点,集束利得,解像度等について設計値に合致するか評価を行う必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでの成果により,固体および内部液体用の材料を選定し,それらの材料の音速測定を行って屈折率を求め,音線理論によって無収差化した非球面レンズ形状を決定した.また,このレンズに対して時間領域差分法による波動解析を進め,集束点,集束利得および解像度等のレンズ性能を予測した. しかしながら,コロナ禍の中でレンズを試作する段階で,固体材料の確保およびその切削加工作業が遅れ,レンズ試作が完了するのみに止まった.また,コロナ禍の影響で参加予定であった国際学会が中止され,成果報告も見送られた.今後は,試作レンズに対して縮尺実験を行って評価し,その成果を国際会議等で報告する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,水槽による縮尺実験を行って,試作したレンズの性能評価を行う.まず,レンズを固定し内部液体材料を満たす容器およびハイドロフォンを固定するための治具を製作する.次に,この容器を水槽内に沈め,レンズ前方から音波を照射し,レンズ後方の内部液体内に形成される焦点領域の音場をハイドロフォンを移動させながら計測する.最終的には,集束点,集束利得および解像度等が,設計値と一致するか検証を進める予定である.また,得られた成果を内外の学会で発表する予定である.
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議がコロナ禍により中止となったため旅費を支出しなかった.次年度に別の国際会議への参加を予定している.
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Research Products
(5 results)