2020 Fiscal Year Research-status Report
複雑な相互内部構造を持つ高次元システムの準乱数シミュレーション
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18K04602
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
諸星 穂積 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10272387)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シミュレーション / 準乱数 / 乱数 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度まで行っていた,条件付分布関数の逆関数を使ったノンパラメトリックな接合関数(経験ベータ,経験バーンスタイン)に基づく乱数と準乱数を発生させる方法に対して,新たに混合分布としての解釈により,これらの乱数と準乱数を発生させる方法を考案した.この新しい方法が,従来の方法で問題になっていた,次元の増大とともに縮退が起こる問題を回避する新たな手段となりそうな感触を得て, 実用上の可能性を探るため数値実験を行った. 新しい手法は,研究対象のベータやバーンスタイン接合関数が,サンプルの順序統計量の混合分布であることに注目して,ベイズ法などでよく用いられる混合分布乱数の生成法にヒントを得たものである.計算時間の点で,これまで研究してきた逆関数法に比べて格段に有利であり,縮退の問題にも対応できそうである.数値実験により,いろいろな推定問題に対して一定の効果があることを確認した.また,乱数と準乱数の比較では,準乱数のほうがより偏りが少ないサンプルを生成できることが見出された.実際に数値積分に使った例で,誤差の収束は準乱数のほうが乱数より一桁程度早かった.これらの内容について,学会で発表をした. これらの結果を,理論面と実験面からもう少し詳細に確認するための作業を続けている.既存の混合分布乱数発生法との比較検討,また数値計算のアルゴリズムを改良して,より高速な生成法の検討を進めている.さらに多項式の次数と生成するサンプルの性能との関係などについて,実験的に研究を進めている. 関連する応用問題として,いろいろな施設配置問題の実例をORの分野から選んで,解法の検討を行っている.また通常のモンテカルロ法の応用をしたマルコフ連鎖モンテカルロ法による数値的実験を行った.この内容に関連した学会発表を行った.今後は接合関数の研究から得られた知見により,より複雑で現実に近いモデルの構築を目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノンパラメトリックな接合関数に対する新しい乱数・準乱数の生成手法を提案できた点が新しい進捗である.いくつかの数値実験を行い,結果の整理を行ったものを学会発表した.数値実験の内容は,並行する文献調査からパラメトリックな場合のブートストラップ推定などを行った.また新しい手法について,既存のベイズ統計などで用いられている手法との関係や,ノンパラメトリック乱数生成に関する研究との関係についての整理を行っている.その中で,今後試行すべき追加実験についての検討を行い,実験の方向性を確認した.アルゴリズムの高速化についていくつか新しい手法を使って,実用的な数値実験の考案が進められた.応用問題への適用法について考えかたの整理を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画からの大きな変更はないが,引き続き理論的な検討と数値実験を組み合わせて研究を進めていく.応用例については,現在手掛けている問題の検討を進める一方,新たな課題の発掘にも努める.今年度も海外での発表などの活動は難しいと考えられるが,オンラインの会議は開催されるので,そのような機会を利用して他の研究者との交流を進めたい.それらを織り込みながら研究の精緻化に努める.
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Causes of Carryover |
コロナで海外出張が行えず,旅費が計上できなかった. 今年度は,論文校閲費などの謝金や,オンラインでの会議に必要な物品などの購入を計画している.
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