2019 Fiscal Year Research-status Report
Operational strategy and automatic design method for construction of ICT and IoT systems for multi-process handling operation and cell production
Project/Area Number |
18K04606
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒川 雅裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70288794)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ICT・IoT / 多工程持ち作業 / セル生産 / 工程設計 / 作業設計 / 設計情報 / 情報システム / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多工程作業に対して生産性向上と作業ミス削減を進めるしくみとIoTシステムの開発を目的とする。この目的に対して今年度は下記の研究を行った。 (1)製品設計情報を考慮する作業設計法の開発:手組み作業を中心とする多工程作業に対して,製品の設計情報(CAD情報)から部品間の接続と作業困難さの評価を表現するデータ構造を開発した。データ構造は複数の2次元表で表現され,CAD内の部品間の位置関係から,接続関係や部品取り付け方向や障害対象物などの情報を取得した。データ構造から,部品組み立て作業の困難さを評価し,作業を容易にするための作業順序を決める数理モデルを構築した。MTM法を利用して計算結果の作業時間を見積もるシステムも開発し,これにより,製品設計と作業設計の統合が構築できた。実機を用いた実験から作業順序決定法やシステムの有効性を示した。 (2)部品組み立て作業における動作分析を利用する改良案策定法の開発:画像解析による手の動作分析から計画作業時間と実作業時間を比較し,作業の問題の抽出と問題の解決方法を提示するIoTシステムを開発した。このシステムでは,分析結果と問題,問題と原因,問題の原因と解決案の関連などの対応表を用意することで,解決案を短時間で提示するしくみを構築した。システムを実作業に適用し,効果を示した。 (3)セル生産工程における動作分析を利用する改良案策定法の開発:画像解析による複数の作業者の動作分析から,レイアウト内での作業の問題の抽出と問題の解決方法を提示するシステムを開発した。(2)とは異なり,広い作業領域を対象とし,複数の作業者の同時作業を分析する。セル生産の作業工程ではレイアウトの改良や治具の導入など,作業環境に依存する多様な解が存在するため,解決案として作業者の経験や事例に基づく案を利用した。そして,システムを実作業に適用し,有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時における研究対象として,(1)「製造対象の製品設計の特徴分析と作業設計」,(2)「作業設計情報を利用した工程設計」,(3)「工程分析と工程改善に基づく製造現場のシステム化」,(4)「工程に対するICT・IoT化,自動化の導入とフィードバックによる生産改善機能」,に対する技法とシステムの開発を設定した. 2019年度までに(1),(2),(3),(4)に関する方法の提案とICT・IoTシステムの開発を行った。これまでに,数値実験や実機を用いた実験を通して,有効性を評価しており,必要な機能を満たしたシステムは完成している.上記の成果は2019年の複数の国際学会や国内学会で発表している。未発表の研究内容は,今後,国内外の学会で発表予定である。 これらの研究は現在,現実場の工場に導入できるように改良を加えており,2020年度では導入,運用予定である。 さらに,(4)に関しては,多工程持ち作業に対して,これまでに開発したシステムを拡張し,ロボットを含めた自動化工程を自動設計するしくみを構築する予定である。この研究では,これまでに開発した作業者の動作の画像処理から問題点を抽出し,改善案を提示するしくみを利用して作業を単純な動作に改良する。そして,単純化した動作をロボットに転写するしくみを開発する予定である。このため,残った課題についても,これまでの研究成果を利用できる点で当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの1年間では,「工程に対するICT・IoT化,自動化の導入とフィードバックによる生産改善機能」の問題において,多工程持ち作業に対して,ロボットを含めた自動化工程を自動設計するしくみを開発する。 この研究では,これまでに開発した部品組み立て作業に対する作業分析システムを拡張することで研究を進める。動画による動作分析と困難な作業の改善案の提示機能を利用することで,単純な動作への作業の改良とレイアウトの改良により,ロボットの単純な動作による自動加工・作業装置の設計を行う。 レイアウトや作業の方法の変更においては,大きく構造を変更する必要があるため,強化学習を導入し,複数の解決案の提示と決定を行う方法を開発する。また,強化学習から得られた改善案の候補から,最良条件を選定するプロセスでは,最適化アルゴリズムを適用し,高精度な条件を考慮する。これにより,ロボットや配送装置などを含んだ,作業工程の設計を行うしくみを構築する。ここでは作業者の動作をロボットに移すのではなく,作業の動作を改良し,単純な動作によるロボットに作業を移すことで工程を設計する点で従来のロボット開発とは異なるアプローチでの自動化の方法を提案する。この方法と情報システムを開発することで,多工程持ち作業を自動化装置に変更できるだけでなく,単純動作の装置の組み合わせに変更することができるため,低コストで汎用性の高いシステムが構築できると考えている. また,これまでに開発したセル生産の作業工程における動作分析・改良案策定法のIoTシステムは,個別受注生産の現実工場に導入を行うことで,新しい問題を抽出していく予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度での執行予定の画像解析用のコンピュータの予算,論文の投稿の予算,2020年度参加予定の国際学会の旅費予算を2020年度の予算を2020年度に残した。 2020年度では,画像解析用のコンピュータの購入,論文投稿に対する費用を予定している。研究成果の報告のため,日本機械学会や日本設備管理学会などへの論文投稿や日本設備管理学会,日本機械学会,日本経営工学会などへの国内学会への発表を予定している. また,IoTシステムの開発のため,(a) 3Dカメラ,(b)イレクターパイプおよび接合器具 (台車およびAGV用)一式,の購入を予定している。
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