2020 Fiscal Year Research-status Report
Disaster simulation by using massive supply-chain data
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18K04615
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 寛康 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (60418499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 義久 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (50358892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サプライチェーン / シミュレーション / 災害 / 波及 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本及び世界の大規模なサプライチェーンデータを用いることで,複雑性を排除せずに企業の生産活動をモデル化し,スーパーコンピュータ京・富岳を用いたシミュレーションにより,災害等によるショックの波及の評価を行うことである. 本年度は、COVID-19の感染拡大を防ぐため行われている封鎖を重点的に調査した。そのうちの一つは、海外で行われている都市の封鎖をわが国で実施した場合についての推計である。このシミュレーションは,従来行われてきたようなGDPから算出した割合や産業間の関係を用いたおおよその計算とは異なり,特定の製品・サービスが手に入らないことなどを企業間取引のマイクロなレベルで行っていることに特徴がある.この枠組みを用いて,東京にある企業のうち,生活必需産業に属する企業を除いて経済活動が停止された場合の,全国への影響をさまざまな条件で試算した.代表的な試算として,1カ月封鎖された場合は,東京23区での生産減少は9兆円である一方,その他の地域での生産減少は18兆円となり,合計でGDPの5.3%の減少となると試算した.他にも、緊急事態宣言による経済活動の制約について、都道府県ごとに解除・実施する組み合わせについて網羅的に検討した。具体的には、複数地域におけるロックダウンがどのようにサプライチェーンを通じて相互に作用しあうのかをシミュレーションで検証した。さらに、サプライチェーンの複雑なネットワーク構造がどのようにロックダウンの相互作用に影響するのかを分析した。特に、サプライチェーン上の流れをポテンシャル(高低差のある)流れと循環する流れとに分解し、高低差・循環流れの役割に注目した。その結果、ある地域におけるロックダウンの経済的影響は、その地域の上流性、域内循環の強さ、および他地域とのサプライヤーの代替性によって大きく左右されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19により予定されていた国際会議発表は一部しか実行されなかった点を除けば、研究の進捗についてはおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響があったため、実施できなかった国際会議での発表を消化するか、なおも不可能な場合は、元の研究計画をより精緻化する等により研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19により国際会議での発表がオンライン開催等となったことや、雇用者が十分に雇えないなど影響が出たため。
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