2022 Fiscal Year Annual Research Report
Collection of traffic accident cases involving persons with visual impairment and construction of a case database
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18K04616
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Research Institution | The Ohara Memorial Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
大倉 元宏 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (30119341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 交通事故 / 転倒事故 / 事故の未然防止 / 事故事例データベース / 安全移動支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害を有する歩行者における交通事故や転倒事故の未然防止を目的として、事例の収集・分析を行い、データベースとしてインターネット上に公開してきた(https://omresearch.jp /road-accident/browse)。今年度、新たに収集された事例件数は6件であったが、関東圏だけでなく、九州や北陸の事例も得られたことが一つの成果であった。今年度の6件を加え、2023年4月末現在で掲載事例は合計で26件となった。26件の内訳は、交通事故が14件、転倒事故9件、その他3件となっている。交通事故は車両と絡む事故で、身体もしくは白杖に損害を被ったものとした。転倒事故は、車両とは絡まないが、身体が地面に横たわり、身体もしくは白杖に被害を被ったものとした。それらに該当しない事故をその他とした。 交通事故では、歩行者優先場所(横断歩道や歩道)で多く発生していた。被害者にとっては慣れた場所で、相手車両は、自転車と自動車が多いが、横断歩道ではバスが含まれていた。相手車両と動線が交差し、相手の側面と接触する場合が多かった。事故の原因はすべて車両運転者の周囲未確認であり、しかも、事故後、車両から降りてくることもなく走り去る場合が少なくなかった。白杖の破損を伴う場合には、被害者はきわめて困難な状況に置かれることになる。車両運転者における交通ルールの順守および社会人としてのマナーの徹底が求められる。 転倒事故では、歩道や車道だけでなく、階段、スロープ、店舗の出入口、歩道と隣接する小川など、交通事故に比べ、発生場所が多岐に渡っていた。重傷(骨折)の被害に注目すると、階段やスロープなどの高度差のある場所と関連があり、そこは不慣れで、しかも路面を確かめないなど、リスキーと思われる行動があった。事故防止のためには、進路上の路面の確認が必須であり、特に、高い場所や不慣れな場所では細心の注意が求められる。
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Remarks |
大倉元宏:視覚障がい者の交通・転倒事故データベースと交通安全、交通安全・医理工連携の今、第150回、日刊自動車新聞、2022.8.20.
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