2022 Fiscal Year Research-status Report
レベル依存型のブロック構造を持つマルコフ連鎖の数値計算法
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18K04622
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
井家 敦 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (30434418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 待ち行列 / マルコフ過程 / 行列解析法 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
「レベル依存型のブロック構造を持つマルコフ連鎖」は、近年、待ち行列分野の応用で多く利用価値が見出されている。このマルコフ連鎖を用いて性能評価を行う際には、システムの状態確率(定常分布)を得る必要がある。しかしながら、マルコフ連鎖のブロックがレベル依存してしまうことにより、全体の構造が複雑になり、定常分布を解析的に陽な表現で得ることは困難である。ゆえに、多くの応用では計算アルゴリズムを用いて数値的に定常分布を求め、それを用いて性能評価が行われる。 しかしながら、近年提案されたものも含めた数値計算アルゴリズムにおいて、レベル数が有限でない場合に有限に打ち切ることが必要となるが、その基準が明確でなく精度保証の理論的裏付けが存在しない。ゆえに、本研究では上記の問題を考慮した定常分布の計算アルゴリズムの提案を行う。 2018年度は、「レベル依存型のブロック構造を持つマルコフ連鎖」の応用例として、マルチメディア通信ネットワークのモデル化に着手し、既存のアルゴリズムで数値計算を実施した場合の計算速度およびその精度の検証を行った。わかったこととして、既存のアルゴリズムでは計算時間・精度の保証が難しいことが再確認できたため、アルゴリズムの改善を考える必要性が生じた。本研究は、レベル依存型のブロック構造を持つマルコフ連鎖に対して1つの見解が得られた意味で有効であったと考えている。本結果については、すでに信号処理関係の査読付き国際会議にて発表済みである。 また、2019年度には、数値計算のためのツールおよびユーザインタフェース開発に着手し、ある程度実用可能なシステムの開発は済んでいる。その結果を2021年度にオペレーションズリサーチ関係の国際会議にて発表を行った。今後、これらの成果を論文誌等に投稿することを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度も、コロナ禍の影響もあり十分な研究や研究会参加等の時間確保ができず、本来取り組むべき数値計算アルゴリズムにおける制度保証について十分な検討が行えなかった。これらは、早急に取り掛かり本年度中に目処を立てる必要がある。 一方で、数値計算のためのツールおよびユーザインタフェース開発についても、進捗状況は思わしくないが、新しい形で進めることができることがわかっており、これらも早急に進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに十分実施できなかった、数値計算アルゴリズムにおける精度保証について研究を進めていく。必要に応じて、数値的・解析的評価を行い、結果を本年度中にまとめることを考えている。あわせて、「レベル依存型のブロック構造を持つマルコフ連鎖」の実問題への利用拡張を検討する。生産システムや情報通信システムでの応用例を考え、そのモデル化・数値計算を実施し、モデルの特性を観測する。
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Causes of Carryover |
2022年度もコロナ禍により、本課題に関する一部の実験を実施することができなかったこともあり、それに関する諸経費が余ってしまったことが原因である。ただ、研究で使用する計算資源の確保は済んでおり、2023年度は国内、国際会議等での研究成果の報告での経費使用を予定している。
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