2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Self-assessment Method of Local governance
Project/Area Number |
18K04624
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
白石 陽子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (30551163)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | セーフコミュニティ / 安全・安心なまちづくり / 地域力 / ソーシャルガバナンス / 協働のまちづくり / 地域安全診断 / コミュニティエンパワメント / 自己評価の仕組み |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である2018年度は、主に地域協働による安全・安心なまちづくり「セーフコミュニティ(SC)」活動を推進している国内地方自治体(15基礎自治体)及びその学校版の取組である「セーフスクール(ISS)」活動を進めている児童保育及び教育施設(保育所・小中学校合計約30施設)における取組み状況に関する情報収集とその整理を中心におこなった。 情報収集に関しては、現地(地方自治体及び学校)に赴き、SC及びISS担当者から取組の状況についてヒアリングを行うとともに、当該年度においてSC認証審査を受けた自治体及び保育・教育施設の認証申請に関する資料(認証申請書及び現地審査報告書、会議資料等)をもとに「問題点」「対策」「取組の成果」を取りまとめた。 加えて、これらの自治体のうち3自治体において救急搬送データから外的要因による受傷事例の分析に取り掛かった。その結果、地域の特性に応じて受傷傾向が異なり、それぞれの安全領域での特徴を比較することができた。 これらの一連の調査から得た情報と分析結果については中間報告ではあったが、研究に協力いただいている自治体を対象に研修会(7月)、SC定例会(2月)に報告及び情報提供を行った。また、自治体の事例等については、11月に我が国で開催されたアジア地域SC会議において各自治体から報告されたが、その報告内容について研究者の立場から支援を行った。また、救急搬送データ分析からみえる地域の安全特性について本会議にて共同研究として報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目標である「地域力の自己診断・育成モデル」を構築するために必要な情報収集先となる自治体との協力関係の構築と情報収集(フィールドワーク)はある程度進んだ。しかし、先行研究の確認については、自治体や児童保育・教育施設とのコミュニケーションに予想以上の時間を費やしたため、予定しているほど進めることができなかった。 フィールドワークの結果、複数の自治体から救急搬送データや医療機関受傷データの提供を受け、安全状況(特に受傷に関する状況)の分析が可能となった。現在は、3自治体から救急搬送データ、2自治体から医療機関への受診データ(いずれも個人情報は含まれていない)を受け、分析を進めているところである。また、地域住民に対してアンケート調査を自治体と共同で実施するべく準備を進めている。 「先行研究に関する調査」については、SCやISSが広範囲にわたる領域をカバーしていることと、前述のアジア地域SC会議の開催支援等のため、当初想定していたほど進めることができていない。現在、論文や書籍等のリストを作成し、順次入手しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目(2019年度)は、当初の予定どおりアンケート調査とヒアリング調査の実施及び分析を進める。アンケート調査については、現在アンケート調査の実施にむけて自治体とともに準備を進めている。直近では、5月中に配布・回収を予定しており、6月から分析を行う予定である。加えて、他の自治体においても類似調査の有無を確認し、実施している場合はそれら調査結果を比較しながら分析を進める。 ヒアリング調査については、引き続き自治体での安全・安心における問題点とその対策(行政事業、市民や企業による活動及び地域協働によるSC活動の3分類)に関する情報収集を行う。収集する情報は、申請書や活動報告書などの既存の資料等から得た情報をベースに担当者や市民との面談式で行う。重点課題に対して設置されている対策委員会に関しては、対策委員会の会議での参与観察を行うとともに、事務局との対面聞き取り調査を行うことを予定している。日程調整が難しい場合は、アンケート式で情報を収集することも検討している。
|
Causes of Carryover |
本年度は、11月に開催された国際会議の主催者の一員としての役割が想定以上に大きく、多くの時間と労力を割くことになった。そのため、当研究にも大きな影響があり、当初のスケジュールから遅れている。そのため、本来、本年度に予定していた支出も多くは次年度に持ち越すことになった。 具体的には、情報収集が予定通りに進められなかったことから、情報収集と分析にかかる人件費と整理に係る物品への支出が予定より低くなった。これらについては、次年度に行う予定である。また、国際会議への出席に伴う支出を想定していたが、今年度は開催が日本であったこと、また主催者(実行委員会)メンバーであることから、旅費を含む諸経費を学会事務局にてカバーしていただいたことから、旅費等が抑えられた。そのため、来年度の国内外の会議出席及び調査の回数を増やし、それに充てる予定である。 さらに、本年度の情報収集から本研究に関する先行研究は国内では限定されていることが明らかになったため、来年度にはアジアの近隣諸国でSC活動が活発な韓国や台湾へ範囲を広げて情報収集を進めていく予定である。そのため、それらに係る旅費及び人件費・謝金に支出を予定している。
|
Research Products
(2 results)