2018 Fiscal Year Research-status Report
Practical research of resilience engineering theory of surgica safety-assisted system and the development of teaching materials
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18K04636
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
綾部 貴典 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70295202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レジリエンス・エンジニアリング / 胸部外科手術 / Work-As-Imagined / Work-As-Done / WAI / WAD |
Outline of Annual Research Achievements |
レジリエンス・エンジニアリング理論を手術安全へ展開するために、①手術現場で行われている日常業務を観察し、②手術状況に合わせて術者が行っている様々な「アジャストメント(調整)」を把握し、③想定外の事態を引き起こす「機能共鳴」を予測し、④未然防止を行う、という4つの項目に関して具体的な方法を明らかにする必要がある。本研究では、手術安全の視点で、外科診療業務の観察を行い、アジャストメント事例を収集し、背景要因を分析する。従来の手術安全(Safety-I)とレジリエンスアプローチを取り入れた手術安全(Safety-II)を組み合わせて、新しい手術安全支援システム(Safety I + Safety-II)を研究開発し、外科手術に応用し、実践する。 【平成30年度】 外科診療における「インシデント」の事例を収集し分析する。インシデント分析は、報告システムを利用し、原因・背景を分析する。また、「日常の手術業務におけるアジャストメント(調整)例」を収集し分析し、記述する。 1)手術におけるテクニカルスキル: 的確な手術器具の選択、操作法、鉗子の方向性・力加減、剥離や切離方法、手順、流れ、安全確保、手技の標準化、コツの客観化、トラブル対策など。肺癌術式の手順や手技の標準化、コツの客観化を行い、時間的、空間的に連続して観察し、手術スキル(テクニカルスキル、ノンテクニカルスキル)をレジリエンス・エンジニアリング理論で、言語化し、記述する。Work-As-AImagined(WAI: 術前計画)とWork-As-Done(WAD: 実際の手術)の実例、乖離した例、WADにおけるアジャストメント(調整)とその理由、これらを近づけるための具体的な方法(カンファレンス、ビデオ振り返り等)を、外科医個人、手術チーム、組織(システム)をレジリエンスの視点から、言語化し記述する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外科診療における「インシデント」事例を収集し分析した。また、「日常の手術業務におけるアジャストメント(調整)例」を収集し分析し、記述している段階である。右上葉肺癌の術式をモデルに、手術スキルを記述するが、手順や手技の標準化、コツの客観化、レジリエンス・エンジニアリング理論で、分析している。Work-As-Imagined(WAI:術前計画)とWork-As-Done(WAD:実施された手術)が適合する例、WAIとWADが乖離する例、WADをアジャストメント(調整)してうまくいく例とその理由、WAIとWADを近づけるための方法(術中出血の予見と回避、癒着剥離や血管露出の調整、トラブルシューティング、リカバリー、術前術後カンファレンス、ビデオ編集振り返り)を、外科医個人、手術チーム、病院組織のシステムにおけるレジリエンス力の要素を明らかにして、胸部外科の手術安全支援システムとして展開できるかどうか、取り組んでいる。 平時と緊急危機的状況発生時に分けて分析している。 A)平時手術。WAIの手術術式のブリーフィングと手術安全チェックリスト、手術ナビゲーション、WADの術中モニタリング、状況認識、意思決定、手術機器の安全な使用、肺血管・気管支処理、血管・気道・肺・神経損傷の対応、ディブリーフィング。 B)想定外事態(予期せぬ危機的大出血)。WAIの想定内・想定外トラブルの予見・回避、肺血管・気管支処理の安全対応、危機度モニタリング、状況認識、WADでのトラブル調整、状況認識、血管・気道・肺・神経損傷の拡大防止と最小限化、トラブル対応オプション選択、トレードオフ、危機管理、回復、ノンテクニカルスキルの実践。
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Strategy for Future Research Activity |
レジリエンス・エンジニアリング理論を手術安全へ展開するために、①手術現場で行われている日常業務を観察し、②手術状況に合わせて術者が行っている様々な「アジャストメント(調整、工夫、回避等)」を収集し、その種類や背景要因を分析する、③想定外の事態を引き起こす「機能共鳴:FRAM(functional Resonance Analysis Method)」を予測し、④未然防止を行う、という4つの項目に関して具体的な方法を明らかにする必要がある。外科手術におけるレジリエンス・エンジニアリング理論の実用化は、A)平常時手術、B)予期せぬ大出血などの危機的状況]、C)学習・教育の3つの領域を記述化し、実践できる教育ツールを開発するための準備を行う。 A)平常時手術 B)予期せぬ大出血などの危機的状況 C)学習・教育:術式の標準手順書作成、手術手技のコツやピットフォールの集積、トラブルシューティング法のリスト作成、手術症例アウトカムの記録、術前シミュレーションと振り返りの循環メカニズムの確立(Work-As-ImaginedとWork-As-Doneを近づける)、手術ビデオ編集・データベース化を行っていく。
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Causes of Carryover |
国際学会に参加して、海外の医療安全、質改善、手術安全の情報収集し、また、本研究の結果、成果を発表するためには、初年度に申請した旅費の範囲内では不足し、翌年度分に請求した助成金と合わせて、使用する必要性が生じた。また、H30年度に開催される国際学会の抄録締切り日は過ぎており、まだ翌年度の締切り日に合わせる必要が生じた。次年度開催される国際学会の抄録登録締め切りに間に合わせ、成果を発表する予定変更があった。本年度使用予定額を延期し、翌年度分と合わせて、使用計画を見直す必要が生じた。
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[Journal Article] Evaluation and Outcomes of Multidisciplinary-Reported Incidents Regarding Patient Safety Management at Special Functioning Hospital in Japan.2018
Author(s)
Ayabe, T., Tomita, M., Okumura, M., Shimizu, S., Uchida, E., Miura, Y., Itai, K. and Nakamura, K.
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Journal Title
Open Journal of Safety Science and Technology
Volume: 8
Pages: 107-136
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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