2019 Fiscal Year Research-status Report
Practical research of resilience engineering theory of surgica safety-assisted system and the development of teaching materials
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18K04636
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
綾部 貴典 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70295202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レジリエンス・エンジニアリング理論 / レジリエントヘルスケア / Work-As-Imagined / Work-As-Done / Safety-I / Safety-II / 手術安全 / 外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学書院「レジリエント・ヘルスケア入門 ―擾乱と制約下で柔軟に対応する力」2019年12月出版により第11章「レジリエンス・エンジニアリングの外科手術への展開、外科手術チームのメンバー間の隠された相互作用」を執筆。第119回日本外科学会定期学術集会 (2019年4月18-20日大阪)でシンポジウム「医療安全―患者と医師が信頼しあえる外科医療を目指して」で「外科医療における患者第一の医療安全と臨床倫理のスキルとエッセンス」でレジリエンス概念を紹介。第36回日本呼吸器外科学会学術集会(2019年5月16-17日大阪)では「呼吸器外科関連インシデント報告事例検討に基づくリスクマネージメント・合併症対策」でインシデント・出血事例を発表。第14回医療の質・安全学会学術集会(2019年11月29~30日京都)は学会テーマは「レジリエンスの探求、つながり、共創、イノベーション」で「レジリエンス・エンジニアリング理論の外科手術への展開:手術チームにおけるWork-As-Imagined (WAI)とWork-As-Done (WAD)を近づける」をシンポジウムで発表。国際学会はThe 8th Resilience Healthcare Network Meeting 2019 (Aug.26-28,2019,Awaji),International Forum on Quality & Safety in healthcare (Sep.18-20,2019,Taipei),IHI National Forum 2019 (Orlando, Dec.9-12, 2019)で発表。American College of Surgeon Quality and Safety Conference(July 19-22,Washington DC, USA)に参加し、レジリエンス情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【平成31年度】はレジリエンス・エンジニアリング理論を手術安全へ展開するために、①手術現場で行われている日常業務を観察し、②手術状況に合わせて術者が行っている様々な「アジャストメント(調整、工夫、回避等)」を収集し、その種類や背景要因を分析し、③想定外の事態を引き起こす「機能共鳴」を予測し、④未然防止を行う、という4つの項目に関して具体的な方法を明らかにしていった。外科手術におけるレジリエンス・エンジニアリング理論の実用化のために、A)平常時手術、B)予期せぬ大出血などの危機的状況]、C)学習・教育の3つの領域を記述化し、実践のための教育ツールを開発中である。 A)平常時手術:手術術式のブリーフィングと手術安全チェックリスト、手術ナビゲーション、術中モニタリング、状況認識、意思決定、手術機器の安全な使用法、肺血管・気管支処理、血管・気道・肺・神経損傷の対応、手術後ディブリーフィング、手術関連インシデント報告の集積・分析。 B)予期せぬ大出血などの危機的状況:術中トラブルの的確な状況認識、肺血管・気管支処理の安全性確保、血管・気道・肺・神経損傷からの回復、トラブルの拡大防止と最小限化、想定内・想定外トラブルの抽出・予見・回避、危機度のモニタリングと評価、トラブルシューティングと対応オプションの抽出、トレードオフ、意思決定、レジリエンス・エンジニアリング理論の活用、危機的インシデント事例の振り返り。 現在、上記の内容を成果物としての英語論文を「Reconciling Work-As-Imagined (WAI) and Work-As-Done (WAD) in Surgery.Implementation of Resilience Engineering Theory for Thoracic Surgery.」で執筆中であり、2020年度内に投稿・採択・掲載予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
外科手術のチームにおいて、まだ存在する隠された相互作用を明らかにしていきながら、どうすれば手術チームが効率的に成長するかを探索していきたい。 【令和2年度】は、【平成31年度】C)学習・教育:術式の標準手順書作成、手術手技のコツやピットフォールの集積、トラブルシューティング法のリスト作成、手術症例アウトカムの記録、術前シミュレーションと振り返りの循環メカニズムの確立、手術ビデオ編集・データベース化、をさらに発展させて、まとめていく。 外科手術安全支援システムは、構成要素として、テキスト、図表、動画を組み合わせて、パソコン、タブレット上で展開させる教育ツールを開発する。そのシステムは、デジタルノートとインターネットクラウドで展開し、外科医は閲覧したり、学習や教育、指導のツールとして活用でき、コメントも随時記入可能で、専修医も指導医も手術教育に活用できるようなシステムにする。手術安全支援システムの開発と実践、教材開発の成果を論文化する。
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Causes of Carryover |
論文投稿費や海外発表のための旅費など、今年度内の使用で完遂できずに、次年度使用の予定とした。2020年4月にInternational Forum on Quality & Safety in healthcare. (April 29-May5,2019, Copenhagen, Denmark)で発表予定であったが、コロナウィルスの世界的感染爆発により、学会開催が延期となり、海外渡航の自粛も重なった。手術ビデオ画像編集用のコンピュータ購入の納品時期の遅延もあり、次年度に繰り越した。
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